総工費の膨らみから大批判を浴びた末に、白紙撤回となった新国立競技場の建設案。現在“出直しコンペ”が行われているが、「前回勝者のザハ・ハディド氏が辞退したことで、国内二大建築家による事実上の一騎討ちになる見込みだ」(設計事務所関係者)という。 そのうちの1人が、隈研吾氏である(もう1人は伊東豊雄氏)。ここでは、隈氏のデザインの特徴について見てみよう。 隈氏はスコットランドに建築される予定の美術館「ヴィクトリア&アルバート博物館」の新館のコンペにも勝利した。地元産のやわらかな質感をもつ木材で覆われるという。 隈氏にはさまざまな意匠の作品があるが、比較的規模が大きく、また素材の質感を生かしながらそれを複雑に構築して、見たこともなかった外観に仕上げる近年の作品の傾向から、新国立競技場のデザイン案を予想するのに一番よい手掛りになる。 1954年生まれの隈氏は、東京大学工学部建築学科の出身で同大学院修