東京オペラシティ アートギャラリーにて、20世紀後半に韓国で育まれてきた挑戦的な抽象絵画を紹介する展覧会『単色のリズム 韓国の抽象』が開催されている。欧米の抽象絵画とは趣の異なる韓国の抽象は、この数年、世界のアート関係者からも熱い視線を注がれてきた。今回の展覧会では、話題が先行しながらも、日本では実物に触れる機会が少ない状況にあったこの領域の魅力を、幅広い世代の画家の代表作を通して見せている。 1970年代に隆盛した「単色画」を代表とするその絵画の特徴を、「日常の行為に根ざした、肌合いの良い抽象であること」と語るのは、展覧会の担当学芸員・野村しのぶだ。一見静謐な画面には、よく見ると生活に直結した行為の反復の美や、素材が与える親密さの感覚がある。日本による統治時代から朝鮮戦争を経て、民主化にいたる過酷な社会状況のなか、画家たちが抽象画に託したものとはなんだったのか。野村に話してもらった。 1