群馬県中央児童相談所の玄関前に置かれた10個のランドセル。その後、伊達直人を名乗って寄付する「タイガーマスク運動」が全国に広がった=2010年12月25日、群馬県提供 恵まれない子どものために――。「伊達直人」を名乗り、ランドセルなどを寄付する「タイガーマスク運動」。全国各地で広がるようになったのは今から10年前のことだ。そのきっかけを作った男性が、毎日新聞の取材に、当時の思い、そして、その後に素性を明かした理由などを語った。【鈴木敦子】 過酷な生い立ち 自身重ね「助けたい」 それは2010年12月25日の土曜日の正午ごろのことだった。前橋市の群馬県中央児童相談所(中央児相)の当直職員が、玄関前に、新しいランドセル10個が置かれていることに気付いた。添えられた手紙には「子どもたちのために使ってください」と書かれていた。 児相は家庭で暮らせない子どもたちを保護したり、子育て中の親子を支援した