数多くの町工場が集積する東京都大田区。金属部品加工業を営む池田克憲さん(80)は、工場で30年以上稼働してきた古びた機械を見つめながら、記者にこうささやいた。「この機械、あと何年持つと思う?」 長い年月を経て機械の電気系統はいつダメになってもおかしくない。かといって新たに機械を導入するには、1000万円以上の借金が必要になる。どんなに低金利環境でも、金融機関は返済能力がなければ融資をしてくれない。「ウチみたいなところは借金で生活している。この機械が壊れれば、廃業するしかない」 シリーズ「検証・異次元の10年」は計5回です。 ラインアップは次の通りです。 第1回 資産バブル 第2回 増える非正規 第3回 失われた経験 第4回 「ゾンビ」のレッテル 第5回 地銀の悲鳴=7日午前7時公開予定 池田さんが父から工場を引き継いだのは約40年前。急成長する半導体市場に目をつけ、半導体製造装置の部品作り