おおすが・たかこ/お茶の水女子大学文教育学部教育学科教育学専攻卒業。同大人間発達科学専攻保育・児童学領域で博士号取得。淑徳短期大学教員(保育者養成)、帝京科学大学教員(小学校・幼稚園教諭養成)などを経て、現在は東京保育専門学校教員。 抽象的な学習になる高学年 ――「9歳の壁」「10歳の壁」という言葉を耳にします。そもそもなぜ、この時期に子どもや保護者は、壁を感じるのでしょうか。 9~10歳は、子どもたちの使う言葉や考える力が質的に転換する時期です。言葉に関しては、9~10歳以前には、相手が見える場面でその人の視線や身振り手振りなどを手がかりにした、言わば話し言葉に支えられた学習をしています。しかし、9~10歳あたりからはそうした具体的な場面を超えたところでも理解したり考えたりすることのできる、いわば「書き言葉」で考える力が育ってきます。 考える力に関しては、10歳くらいになると、書きながら