アフリカにまたひとつ国ができた。南スーダン共和国。イスラム化を進めてきたハルツームのスーダン政府に弾圧され、ながいあいだ内戦を戦いぬいた末の独立である。 スーダンにある油田の多くは南スーダンに位置する。油田をめぐる権益争いが、とくに米中のあいだでこれからくりひろげられるだろうとする観測もある。これまで投資が許されなかった南スーダンで石油開発の動きが活発化し企業競争がおこるのは当然予想されるが、だからといって米中が南スーダンをめぐって対立しているとみるのは、おそらく正しくない。もしそうなら、ハルツーム政府にもっとも影響力をもつ中国が南スーダンの独立を阻止すればよかったのである。ゼロから新しい国をつくるよりも、そのほうがはるかに容易だった。 スーダンはアフリカでは珍しく古代に遡る国家史をもつ。紀元前にはエジプトを支配していたこともあり、ピラミッド遺跡も存在する。エジプト同様ここも「ナイルの賜物