これは凄い本だ。大手新聞紙の発行部数が下落し始めて久しいが、本書で描かれるような記者の情報収集能力の高さを目の当たりにすると、新聞社というシステムが持つリソースの潤沢さを思い知らされる。 著者は朝日新聞の北京特派員として、6年弱にわたって中国報道の最前線に立ち、共産党内部の権力闘争を追い続けた。体を張って共産党員とのパイプを築き上げ、 当局による幾度のもの取り調べに合いながらも、 中国の権力の最深部に迫っていく様は、日本のジャーナリズムの衰退などどこ吹く風だ。 そして描かれる様々なエピソードはまさに桁違いのスケールである。副題にある「人類最大の権力闘争」はまったく言い過ぎではない。 ロサンゼルスには将来的なアメリカへの移住を見越した中国政府高官の愛人を住まわせる村が存在し、彼らは6億円もの豪邸をキャッシュで買って行く。愛人は高官たちが中国本土で違法に蓄えた資産のマネーロンダリングに使われる
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