拙著『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)は1990年代から2020年にかけてのテレビドラマについて論じている。大きく取り扱っているのは野島伸司、堤幸彦、宮藤官九郎の3人。彼らが手掛けたテレビドラマについて考察することによって、90年代以降のテレビドラマの歴史と社会的出来事との関係について書いている。 今回の記事で取り上げる脚本家・坂元裕二についても、野島伸司や宮藤官九郎と比較する形で時代ごとの作家性を掘り下げている。 今年に入り、映画『花束みたいな恋をした』がヒットし、現在、放送中の連続ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』が注目されている坂元裕二は、今のテレビドラマを語る上で欠かせない脚本家だ。1980年代後半のトレンディドラマ全盛の時代にキャリアをスタートし、現在も第一線で活躍し続けている坂元だが、約30年間の中で3度の大きな変化があったと見られる。