むかしむかし、あるところにとても仲のよいふたごの兄弟がいた。 弟は背がとても小さくて、兄の懐にすっぽり入ってしまうほどだった。 しかし弟は力が弱いかわりに魔法を知っていた。 さて、兄弟が年頃になったとき、二人はそろそろお嫁さんをもらいたいと考え、そのことを話しあった。 「でも弟よ、お前と同じくらい小さな娘さんがいったいどこにいるっていうんだい?」 「大丈夫さ。ぼくにまかせといてよ」と弟は答えると、ひとかたまりの炭を取り出し、石の上に円を描いて炭に火をつけ、炎のなかに薬草の種を投げいれた。 するとひとすじの煙が立ちのぼり、一人の娘の姿が浮かびあがった。 「わたしに何かご用かしら?」 「ぼくたち、お嫁さんをさがしてるんです。 大きなお嫁さんと小さなお嫁さんを。」 「それなら、わたしとふたごの姉がぴったりだわ。あなたたちが山を越えてわたしたちの所にいらっしゃれば夫婦になれるわ。」