【春割・2カ月無料】お申し込みで… 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題 日経ビジネス最新号13年分のバックナンバーが読み放題

2005年に、劉国光氏、馬賓氏、鞏献田氏たちが巻き起こした中国の改革に対する論争は、歴史に残るだろう(注1)。この論争をふまえ、胡錦涛総書記をはじめとする中国共産党中央は「確固とした決意をもち、改革を揺るぎなく推し進めていく」と態度を表明した。 論争は一年に及び、参加した人の多さ、議論範囲の広さ、問題の尖鋭性、感情の激しさなど、いずれも過去にないものだった。では、論争はどのような意味を持ち、理論面ではどのような問題を明らかにし、実践面では改革をどのように導いたか。本稿はこれらの問題に答えようとするものである。 論争について、改革派たちには異なった見方と態度が存在する。 (1)劉国光氏らの改革への質疑は思想の硬直化の反映であり、言い古されたことの繰り返しであり、一顧だに値しない。 (2)大きいばかりで中身のない理論問題にとらわれずに、現実的な問題を着実に解決していくべきである。 (3)イデオ
中国では1949年に共産党政権が誕生してから、近代経済学は資本主義のイデオロギーとして全面的に排除された。その代わりに、マルクス学説に基づく「資本主義篇」と、ソ連の『政治経済学教科書』をモデルとする「社会主義篇」からなる「政治経済学」が、政府と世論のみならず、学界においても独占的地位を占めていた。しかし、計画経済に基づく経済発展の失敗が明らかになるにつれて、ソ連モデルの権威が失われるようになった。その上、改革開放以降、市場経済と私有制を根本から否定する従来のマルクス経済学は、まさに存亡の危機に立たされている。 マルクス経済学と近代経済学を精通する国民経済研究所の樊綱所長は、ソ連の『政治経済学教科書』の内容は、「各種経済理論の長所ではなく、むしろ多くの短所を集めたものである」と批判している(『経済人生』、広東経済出版社、1999年)。たとえば、本来、「階級闘争」に基づく資本主義に関する分析の
最近、中国の経済成長の信憑性をめぐって、数多くの疑問が投げかけられ、話題を呼んでいる。 プリンストン大学のクルーグマン教授は、中国の経済成長をSF小説と呼び、それが完全には理解できないものであると指摘している。また、中国経済成長のデータに対して、MITのサロー教授も「体制が健全である香港の経済成長率がゼロであるとして、中国大陸の7.3%の経済成長はどのように実現できるのか」と述べ、「中国がどのようにして、たった一年でインフレ率を10%からゼロに低下させ、経済の安定した発展を維持したのかをまったく理解できない」と疑問を示した。 これに対して、ピッツバーグ大学のロウスキー教授の疑問は系統的で、厳密なものである。彼は中国のエネルギー消費、航空運賃、商品在庫の程度、失業水準及び消費財価格の変化に基づき、中国の1998年と1999年のGDP成長率がせいぜい2%ぐらいであり、2001年の中国の実質経済
このごろIT(情報技術)の世界でメディアをにぎわせている話題に「ICタグ」がある。商品につけた半導体チップに情報を入れ、電波で受信して在庫管理や防犯などに使おうというものだ。国際的には、MIT(マサチューセッツ工科大学)を中心にして決められた規格「オートID」が標準になり、ウォルマートなどが採用を決めた。日本でも、慶応大学にオートIDセンターができ、実装が進んでいる。 ところが、そこに「ユビキタスID」というのが現れた。まだ規格も固まらず、作っているメーカーは2社だけだが、そのリーダーである東大の坂村健教授は「米国にあわせる必要はない。日本独自の標準を作ることが国益にかなう」として政府の関与を求めている。これは「バーコードは米国の規格だから、日本独自の国定コードを作ろう」というようなものである。 坂村氏がこういうナショナリズムをあおるのは、今回が初めてではない。15年前に彼が進めた「トロン
本稿は、世界経済を牽引するエンジンの中国経済が新年に直面する2つの大きな内部矛盾を明らかにする。 現在、中国のGDPの大きさは日本の3分の1だ。人口は中国が日本の10倍以上ある。だから中国の1人当たりGDPは日本の30分の1しかない。実際、中国の1人当たりGDPは1200ドル、これに対して日本は3万5000ドルある(いずれも2004年)。 中国の政策当局は、今後は1人あたりGDPを毎年7%成長させていきたいと計画している。つまり10年間で1人当たり所得が倍増、20年間で4倍増である。2025年に中国の1人当たりGDPは5000ドル近くになるわけだが、それはまだ、現在の日本の7分の1の水準にすぎない。今から20年経って、中国経済全体としてはようやく中進国の仲間入り、ということになる。しかも、それに至る道が平坦であるという保証は全くない。いくつかの大問題があるが、ここでは1つだけ取り上げておこ
市場経済化に伴う中国経済の台頭は著しい。2001年のWTO加盟によって、国内経済改革の動きはいっそう加速し、安価な製造コストを求めた生産拠点としてではなく、巨大なマーケットをにらんだ先進諸国の対中進出が活発化している。1990年代からの対外経済開放政策によって外資導入とともに、市場原理に従って国有企業改革を進め、中国政府は国内産業の競争力強化にも力を入れている。その重要な政策の一部がイノベーションシステム改革の動きである。 イノベーションシステムとは、企業における新製品開発や新たな生産技術の導入などのイノベーションを活性化させる国全体のシステムを示す。たとえば、大学や公的研究機関における研究成果が企業におけるイノベーションに対して、いかに有効に取り入れられるかといった産官学連携のあり方も重要な要素である。また、シリコンバレーにみられるようなベンチャー企業によるイノベーション創出を促進するた
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く