要旨 2024年度の春闘賃上げ率は5%を上回り、24年度の賃金加速がコンセンサスとなっている。ただし、春闘賃上げ率はマクロの賃金統計と多くの差異がある。どの程度の加速になるかは幅を持ってみておくべきである。 第一に組合のある企業を対象としている点。特に中小企業のカバレッジは低く、マクロ全体を代表するものではない。 第二に組合員の賃金を対象としている点。組合のある企業でも管理職などの役職者となった非組合員のミドル・シニア層の賃金は十分にカバーされていないと考えられる。23年の賃金統計をみると、ミドル・シニア層が足を引っ張る形で大企業賃金がマイナスだった。 中企業、小企業は幅広い年代の賃金が上昇。平均賃金上昇率は大企業を明確に上回っている。しばしば、春闘賃上げ率の違いをもって大企業の賃上げが中小企業を上回っているとされる。しかし、厚労省統計を見る限り起こっていることは真逆である。春闘賃上げ率が