能楽師の手記に秘話 1957年に行われた能楽のパリ公演で、輸送中に破損した能舞台の背景板(鏡板)に、現地在住の画家・藤田 嗣治 ( つぐはる ) が、急きょ 老松 ( おいまつ ) の絵を描き入れ、公演の成功を陰で支えた秘話を記した手帳が、山本能楽堂(大阪市中央区)で見つかった。手帳には、公演の成功を喜ぶ藤田の直筆メッセージのほか、舞台写真も貼り付けてあり、今春、能楽堂併設のライブラリー(資料室)で公開される。(坂成美保) 手帳は、能楽師・山本博之(1895~1973年)の遺品。長く未整理のまま、能楽堂を運営する孫の章弘さん(55)によって保管されてきた。能楽堂の改修に伴って昨夏から整理したところ、パリ公演で使用したパスポートやフランス語のプログラムと一緒に、パリ公演を記録した赤い表紙の手帳が発見された。 戦後、パリ公演のために結成された能楽渡欧団は、能楽師・喜多実を団長に山本ら24人が参