風邪の専門医からみて「風邪らしい風邪」というのがあります。のどの痛みから始まり、鼻水に続き、のどの痛みがよくなって鼻水がひどくなり、せきが始まり、せきがひどくなると鼻水がよくなり、その後にせきが治まっていく-という経過をたどるものです。つまり、のど・鼻水・せきの3つの症状が、そろってこの順番で出現し、症状が出た順に治っていくということです。せきから始まるのは風邪らしくないですし、のどの痛みが鼻水よりひどくなる場合は風邪ではないかもしれません。 外来に来られた患者さんから、「朝起きたときになんだかのどが痛くて、そのうち鼻水が出てきて、今はのどの痛みは軽くなっていますが鼻水がひどい」なんて聞くと、風邪の専門医は「これは一番風邪っぽい。この後でせきが出たり、もしくは出ないかもしれないが、そのうち勝手に治っていくので、医者にかからずに放っておいてもよかったのに」と思いながら診察しているわけです。