米国のデータ1)では,うつ病の生涯有病率が約17%であるのに対し,不安障害の生涯有病率は20%を超えているという。しかしながら不安障害はその診断の難しさが指摘されており,見逃さず,きちんと治療を行っていくことは臨床的にも非常に重要な課題と言える。 そこで本紙では,不安障害を専門とする3氏による鼎談を企画。各専門分野の立場から,不安障害をいかに診ていくべきかお話しいただいた。 改訂によりDSM-5の有用性はますます高いものに 塩入 2013年にDSM-5が発表され,不安障害群でもいくつかの変更がなされました。主な変更点としては,不安障害群の中から「強迫性障害(OCD)」「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」「急性ストレス障害(ASD)」が外れ,「強迫症および関連症群」「心的外傷およびストレス因関連障害群」という独立した群になったこと,「分離不安症」「選択性緘黙」が新たに不安障害群のカテゴリー