■ 「過去の成功体験から抜け出せない人は、仕事で通用しなくなる」――これは多くの人が理解し、また実感していることではないだろうか。自身のキャリアや仕事内容、外部環境などが変化する中で、これまでに得た知識やスキル(=ノウハウ)を捨て、新しい知識・スキルを取り入れる「アンラーニング」は重要である。アンラーニングに関し、これまで「組織」視点での研究は数多く進められてきたが、本書では「個人(職場で働く人)」に焦点を当て、どのようにアンラーニングし、成長しているのかを検討していく。 ■ 本書は大きく3部構成となっており、著者がこれまでに行ってきた学術研究のエッセンスが詰め込まれている。第1部では、アンラーニングとは何かを説明した上で、さまざまな業種で働く人を対象とした自由記述調査からその全体像を俯瞰(ふかん)する。続く第2部では、アンラーニングを促す個人要因として「学習志向」「内省(出来事を振り返る