―長年、基礎研究や教育の重要性を説いてきました。 「日本は天然資源に乏しく、以前から人材を育てるしかないと叫ばれてきた。大学の主な役割はすぐに応用につながらず、時間のかかる基礎研究だ。1人200万―300万円もあれば十分にできる研究も少なくない。国の戦略として拡充すべきだ。科学に投資しすぎだと問題視する国民がどれだけいるのだろうか」 ―科学への投資の効率化と多様性の確保はバランスを取るのが難しいです。 「義務教育はもちろん、高等教育も個性を生かした教育が大切だ。多様な人材が社会を豊かにする。研究も同様だ。すべての研究が社会ですぐに役に立つわけではない。基礎研究中の基礎研究といわれる宇宙線の研究も、最近ではピラミッドや東京電力福島第一原子力発電所、火山などの透視に応用されている。経済的な価値や効率性だけを追求していてはたどり着かない研究は多い」 ―1977年の国際学会の会場で導電性高分子の豆