株式会社 日経BP 〒105-8308 東京都港区虎ノ門4丁目3番12号 →GoogleMapでみる <最寄り駅> 東京メトロ日比谷線「神谷町駅」4b出口より徒歩5分 東京メトロ南北線 「六本木一丁目駅」泉ガーデン出口より徒歩7分
定額給付金の評判が相変わらず悪い。 1月に行われた朝日新聞の世論調査では、「やめた方がよい」が63%に達し、「政府の方針どおり配った方がよい」の28%を大きく上回った。読売新聞の調査結果に至っては、「支給を取りやめて、雇用や社会保障など、ほかの目的に使うべきだ」が78%にものぼっている。8割近い圧倒多数の国民が反対しているわけだ。 世の評論家もまた、わたしの知る限りでは宮崎哲弥氏を除き、定額給付金は絶対にやめるべきだと口を揃える。あげくのはては、小泉純一郎元総理が「本当に3分の2を使ってでも成立させねばならないような法案とは思っていない」と述べ、衆議院での再可決に値しない法案だと決め付けた。 だが、本当に定額給付金はそれほど劣悪な政策なのだろうか。わたしはそうは思わない。確かに、麻生総理の言っていることは納得できない内容がほとんどなのだが、この一点についていえば理解できる。金額があま
第38回 衝撃の偽ドル札「スーパーα 」が現れた! 松村テクノロジー社長 松村 喜秀氏 2008年12月17日 先日、東南アジアの関係者から米100ドル紙幣が送られてきた。偽札の疑いがあるというのだ。鑑定してわたしはショックを受けた。なんと、これまでの最先端の偽ドル札を上回る精巧さだったからだ。 最初は本物ではないかと思った。だが、2週間かけて、当社の技術者たちと一緒に分析、検討して偽札と断定した。 これは恐ろしい偽札だ。これまでは、いかに精巧な偽札といえども、真札と異なる部分、いわば偽であるという“暗号”が仕込まれていた。鑑定する側は、その暗号を探し出していけばよかったのだ。ところが今回の偽札は、ほぼ本物といえる出来映えで、暗号が皆無に近い。 わたしが北朝鮮製といわれる偽米ドル札「スーパーK」を発見し、偽札とつきあい始めてから20年以上も経った。その間、次々に現れる偽札との追いか
国籍法改正案をめぐる疑義が、ようやく参院審議の段階で表面化した。衆院ではろくな審議も経ないまま通過してしまったのだが、一部の議員の指摘でその背後に隠された問題点が浮かび上がった。 この一件は、「人権」という言葉の前にはなんらの疑念もなく受け入れてしまう政治やメディアの実態を象徴するものといえる。 現行の国籍法では日本人の男性と外国人の女性との間の子どもの日本国籍取得について、両親が結婚しているか、生まれる前に父親が認知することを条件としていた。 最高裁が今年6月、フィリピン人の女性と日本人男性の間に生まれ、出生後に父親が認知しているケースについて、これが日本国籍を取得できないのは憲法14条の「法の下の平等」に反するという判断を下した。15人の裁判官のうち12人が違憲判断を示したのである。 これを法務省が受けて、自民党法務部会に改正案を提出、法務部会はろくに検討もしないまま認めてしま
10月14日、日本経団連が「人口減少に対応した経済社会のあり方」(PDFファイル)と題する報告書を発表した。政局や金融危機のニュースに隠れてしまったためか、ほとんどの新聞がこれに触れていないのだが、このなかに非常に注目すべき提言がある。それは「移民の受け入れ」だ。 日本経団連は、以前から外国人労働者の受け入れについて積極的な態度を示していたが、今回のように「日本型移民政策」という表現まで使ったうえで、「外国人と日本人がともに、双方の文化・生活習慣の違いを理解しつつ、同じ地域社会の中で支障なく生活していくことが可能となるような環境づくりを進めていく必要がある」と、帰国を前提としない移民の受け入れを明確に提言したのは、おそらく初めてだろう。 その根拠として挙げられているのが、人口の減少と高齢化の急速な進展である。報告書で引用している国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2055年の総
田母神(たもがみ)俊雄・前空幕長が民間企業主催の論文募集に応じ、これが最優秀賞となったことから、一大政治問題に発展した。筆者はこの選考過程に加わった当事者の1人でもあり、あちこちでこの件を書いたり、取材するはずの側が取材される立場になったりと、なんともあわただしい。 重複を承知で、やはりこの「田母神論文」騒ぎに触れておかなくてはなるまい。田母神氏の論文は「日本は侵略国家であったのか」というものであった。このコラムのタイトル「我々の国家はどこに向かっているのか」を考えるためにも、今回の騒動は格好の示唆を与えてくれるように思われる。 そこで、まだこの論文をお読みでない方はぜひ一読されることをお勧めしたい。ここからPDFファイルで見ることができる(アパグループ第一回「真の近現代史観」懸賞論文募集) これによって、田母神氏は空幕長を更迭され、空将の定年退職年齢に達していたため、これが適用され
米軍によるアフガニスタンへの報復攻撃が続く中、一般市民はどんな状況なのか。パキスタン北西部の都市ペシャワールを本拠地に、アフガン東部で18年間にわたり医療活動を続けている、非政府組織「ペシャワール会」の現地代表・中村哲医師に現地の様子やタリバン政権の実態について聞いた。中村医師は米ニューヨークのテロ事件直後にアフガン入り。10月13日現在一時帰国中だが、今月中に再度ペシャワール入りする予定である。 市民は北部同盟を受け入れない 今、アフガニスタンの市民は思ったより冷静です。首都カブールと北部のジャララバードにある会のオフィスから毎日2回連絡がくるので、日本にいても状況はつかめます。会はカブール市内に5カ所の診療所を運営していて毎朝8時に朝礼をしていますが、空爆の後も変わっていません。 日本の報道で一番伝わってこないのが、アフガンの人々の実情です。北部同盟の動きばかりが報道されて、西側が
第32回 黒部川の“黒い泥”今年も32万m3排出 漁民が関西電力を提訴 文/藤田 香(日経エコロジー) 2008年8月18日 「連携排砂(はいさ)」という言葉をご存じだろうか。2つのダムが“連携”して土砂を吐き出すことだ。富山県の黒部川では、今年6~8月、連携排砂によってダム湖にたまった32万m3の黒い泥が流れ下った。 日本有数の清流・黒部川には、「クロヨン」こと黒部ダムの下流に、関西電力の出し平(だしだいら)ダムや国土交通省の宇奈月ダムがある。いずれも通常ゲートとは別に、土砂を吐き出す「排砂ゲート」を持つ。ダム湖に蓄積した土砂を排出すれば、貯水量が増えて発電能力が向上し、海岸浸食を抑制すると期待された。 ところが、2001年から出し平ダムと宇奈月ダムが連携排砂を始めたところ、ダム湖底でヘドロ化した土砂が下流や日本海に流れ込み(上)、漁業被害が深刻化した。同年、沿岸漁民17人とワカメ
わたしはコンビニの24時間営業を防犯的には75%支持し、防災的には95%支持する。 7月7日から開催される洞爺湖サミットに向けて、省エネルギーの観点から24時間営業の是非が話題になっている。最近、深夜営業規制を表明した地方自治体があるが、実に近視眼的な対応で、後できっと後悔する間違った判断である。それはなぜか。 我が家は「かけこみ110番の家」になっている。子どもや女性が、危険を感じたり具合が悪くなったりして助けを求めてきたときに、保護をして警察や消防に連絡する役割だ。 これまでのところ、かけこんで来た人は皆無である。ただし、大型犬のゴールデンレトリーバーが数回かけこんで来た。初めて迷い込んで来たときに、牛乳とパンを大盤振る舞いしたら、それに味を占めて飼い主宅からすきを見て忍び出てくるようだ。 「かけこみ110番」のボランティア活動には、個人に加えて、地域のコンビニエンスストア、ガ
アマの眼を失ったプロは一流にはなれない (田中 秀征=福山大学教授) 将棋の羽生善治プロが名人に復位した。加えて通算5期獲得したことにより、“十九世永世名人”を名乗る資格を得た。 羽生は将棋界のスーパースターだ。実力、実績、人気すべてで他を圧倒している。タイトル(名人、王将、王位、棋聖、竜王、棋王、王座の7つ)の通算獲得数は69。すべてのタイトルを平均10回も獲得していることになる。 なぜか縁が薄かった名人位 羽生は羽生五段とか羽生八段とか呼ばれたことがプロとしてデビューした頃を除けばほとんどない。なぜなら、プロ棋士はタイトルを保持している時は「羽生王座」のようにタイトル名で呼ばれる。羽生は一貫してタイトルを持ち続けている。それどころか、ほとんど毎年複数のタイトルを獲得しているから、羽生五冠とか羽生二冠とか呼ばれてきた。 その羽生がなぜか名人位には縁が薄かった。他のタイトルでは
共和党のジョン・マケイン候補と民主党のバラク・オバマ候補との一騎打ちという展望がついに確実となった米国大統領選挙は、現地のマスコミではどのように報じられているのか。主要マスコミはオバマ候補をとくに優遇して報じているという米国民一般の認識が一連の世論調査で明らかにされた。 長かった米国大統領選挙の民主党側予備選レースも6月3日、ついに終幕を迎え、バラク・オバマ上院議員の民主党全国大会での候補指名が確実となった。オバマ候補はその夜、「私こそがこの大統領選挙の民主党指名候補となる」と宣言した。指名争いでのクリントン候補に対する事実上の勝利宣言だった。 一方、オバマ候補と切るか切られるかの凄絶な激戦を続けてきたヒラリー・クリントン候補は、これに対しすぐには敗北を認めなかった。オバマ氏の指名が確実になった3日夜の演説では「なんの決定もくださない」とだけ述べ、4日後の6月7日にやっと選挙運動の「中
道路特定財源の暫定税率廃止は、わずか1カ月の短命に終わってしまった。だが、国会でのやりとりのなかで、それまで知られていなかった道路特定財源の実態が明るみに出てきただけでも意義はあったといえよう。 わたしが詐欺的だと思うのは、道路特定財源のうち道路整備以外に6000億円もの金がつぎ込まれていた点である。なかでも注目したいのが、道路担当の国土交通省職員用の宿舎を、民間から借り上げるために支払われた金である。 宿舎は全国で145戸あり、家賃として昨年度は総額1億5114万円が道路特別会計から支払われていたという。これに対して、入居した職員が支払った家賃の総額は1971万円。この差額である1億3143万円が道路特別会計の公費負担ということになる。 わかりやすいように、1戸あたりに直してみよう。国土交通省は、民間から月8万7000円で宿舎を借り上げて、それを職員にわずか月1万1000円で貸して
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