斎藤太郎(ニッセイ基礎研究所経済調査室長) 2018年1〜3月期のGDP(国内総生産)1次速報では、個人消費が前期比0・0%減とわずかに減少する一方で、名目雇用者報酬が前年同期比3・2%増と1997年4〜6月期(同3・6%増)以来、約20年ぶりの高い伸びとなった(図1)。この数字を額面通りに受け取れば、個人消費の先行きに期待が持てそうだが、1〜3月期の雇用者報酬は基礎統計(厚生労働省「毎月勤労統計」、総務省「労働力調査」)の問題で過大推計されている可能性がある。 「毎月勤労統計」の現金給与総額(1人当たり)は17年10〜12月期の前年同期比0・7%増から、18年1〜3月期には同1・4%増へと伸びを高めた。ただ、「毎月勤労統計」は18年1月から、事業所規模30人以上の抽出方法が、従来の2〜3年に1度行う総入れ替え方式から、毎年1月の調査時に部分的に入れ替える方式に変更された。総入れ替え方式の