虐待を受けた子どもは二回、心の重荷を背負う。一回目は虐待そのものによる体や心の傷。二回目は大人から繰り返し事情を聴かれ、つらい経験を思い出してしまうことだ。せめて二回目の負担を和らげようと、これまで児童相談所(児相)、警察、検察が個別に面接していたのを、三機関の代表者が行う「協同面接」制度が始まろうとしている。神奈川県の医師の熱意が「縦割り行政」の壁を壊し、一歩を踏み出した。 (安藤美由紀) 神奈川県伊勢原市に今年二月開設した「子どもの権利擁護センターかながわ」。同市のNPO法人・チャイルドファーストジャパン(CFJ)が運営し、専門的訓練を受けたスタッフが虐待を受けた子どもから聞き取りをしている。協同面接はまだ実施されていないが、設備は整っている。 面接室は子どもと面接者が二人きりで話すため、一人掛けのソファを向かい合わせに設置。天井にカメラが据えられ、別室のモニターで視聴できる。別室から