「自傷他害のおそれ」という概念を問い直す ──国際ワークショップ「精神医療の「過去」と「現在」を展示する-医学史博物館と美術ギャラリーの社会的役割をめぐって-」に参加して── /兵頭 晶子(歴史学研究者) 2018年9月17日、慶應義塾大学日吉キャンパスで開かれた、標記のシンポジウムに参加した。問われていることは、深く、大きかったように思う。このワークショップは、単に歴史や過去にはとどまらない、今の私たちに関わる問題を、根底から問いかけている。 戦後日本において、「患者は監置され、文明は進歩する」とでも言うべき逆説的な状況が起きたとの、鈴木晃仁氏(慶應義塾大学経済学部・教授)の象徴的な問題提起から、本シンポジウムは始まった。 ARTを通して、たくさんの世界との出会いや、違う関係性と対話を築き上げることができること、そうした自分たちの経験を通して、人間(ひと)であることを証言するのだという内