今月は歴史専門書の数が多いです 2022年1月~3月の世界史関連新刊紹介です。 本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回は50冊あります。 高校で「歴史総合」が始まるにあたって、歴史をどう見るかといった視点の本が今回は多い印象でした。 ※追記 昨今のウクライナ情勢も踏まえて、やや趣旨が異なりますが、ウクライナの歴史やロシア・ウクライナ関係史の書籍も記事末にまとめておきます。 新書 今期はあまり世界史関連の新書はあまり多くありませんでした。個人的な注目はこの二冊です。 リヒトホーフェン―撃墜王とその一族 中国思想史 1. 『リヒトホーフェン―撃墜王とその一族』 中公新書 森貴史 著 2022/1/19 税込968円 リンク 「赤い男爵」ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンは、真紅の機
戦争の霧の渦中にいると、どうやって前に進むべきか、道をみつけるのは大変だ。外交の舞台裏から聞こえてくる騒音。愛する人や家を失った人たちの感情。こうしたものに取り囲まれて、私たちは押しつぶされそうになる。なので今、一歩引いて、ウクライナの紛争が今後どうなり得るか、考えてみようと思う。各国の政府幹部や軍部の戦略担当はどのようなシナリオを検討しているのか。自信をもって未来を予言できる人はほとんどいないが、実現可能性のある展開をいくつか並べてみた。そのほとんどの見通しは暗い。 このシナリオでは、ロシアは軍事行動をエスカレートさせる。ウクライナ全土で無差別の砲撃が増える。これまでの作戦では目立たずにいたロシア空軍が、壊滅的な空爆を開始する。国の主要インフラを狙った大規模なサイバー攻撃が、ウクライナ全土に及ぶ。エネルギー供給と通信網が遮断される。市民の犠牲は数千人に達する。首都キーウ(キエフ)は果敢に
新たな落語漫画 週刊少年ジャンプで落語漫画の連載が始まった。 『あかね噺』である。 (以下、三話までの内容に触れています) 主人公は、高校生のあかね。 彼女の父は、もと二ツ目の落語家だった阿良川志ん太。 第一話では、彼は真打になるための試験(なぜか真打「昇段」試験となっていた)で落ちてしまう。その後、落語家を続けることを諦めたようだ(真打に上がることはふつう「昇進」と呼ぶので、真打昇段というのは漫画独自の用語のようである)。 そんな父の落語が大好きだった娘のあかねは、父がなれなかった「阿良川流の真打」になってやると決意し、父の師匠の阿良川志ぐまのもとに小学生のときから通う。6年にわたり稽古をつけてもらい、高校生となり落語家としてデビューする。 そういう物語である。 女性落語家の物語でもあるらしい。 漫画だからモデルがわかりやすい。 一話と三話で扱われていた「落語喫茶」という場所のモデルは、
2月8日に発表された、第94回アカデミー賞のノミネーション。日本映画として初の作品賞ノミネートとなった『ドライブ・マイ・カー』のオスカーキャンペーン戦略と、数々のサプライズとsnub(冷遇)があった理由を考察してみたい。賞レースとは、全ての作品の素晴らしさは大前提として、作品そのもの以外の様々な要因が複雑に重なり決まるもの。そのアウトカムを予想することは、映画を取り巻く時代背景を読むことにもつながる。 1. ダイバーシティ、インクルージョンの流れに合致 今年のアカデミー賞作品賞候補は10作品になることがあらかじめ発表されていた。実際に投票用紙(オンラインだが)を前にすると、「1本くらい外国語映画を入れるか」という思いが脳裏をかすめるものだ。これは、“多様性・包摂性を意識したアカデミー賞”のロビイング活動が成功しているため。アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は2020
私が住まいを借りた近所には、同じような古い家が密集し、一軒の家を複数の個人や家族でシェアして住んでいる。通りには庭や街路樹といった緑はほとんどなく、黒人やヒスパニックの子供たちが路上で元気に遊ぶ。 通りがかる車や停車中の車からは、ヒップホップや、レゲトンというラテン系の音楽が大音量で響く。ただ、夜中になっても音楽を響かせている車が停まっていると、近所の住民が出てきて、「ヘイ、ブラザー」と声をかけ、通りには静寂が戻る。 「ようこそヨークへ」 ここは、アメリカで「インナーシティー」と呼ばれる地域の一角だ。都市の中に広がる、低所得者層が住んでいる地域のことで、黒人やヒスパニックのマイノリティーが多い。デトロイトやボルティモアなど、アメリカには、こうしたインナーシティーが中心部に広がる都市が多い。ヨーク市街地にもインナーシティーが広がり、私の住まいは、その南の端っこだ。 コロナ禍のまっただ中にあっ
昨年9月の先行配信(FOD)時から「なんという傑作!」とSNSに絶賛の嵐が吹き荒れたアニメ『平家物語』(フジテレビ)。折しも、今年1月から放送のNHK大河ドラマは源氏側から描く『鎌倉殿の13人』、書評家・豊崎由美が、源平の名作をいっぺんに享受できる僥倖に震えつつ、いざ、アニメの原作となった古川日出男訳『平家物語』(873ページ!)に挑む。 アニメ『平家物語』の原作を読む 〈祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす。おごれる者久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。〉 ご存じ、『平家物語』冒頭のあまりにも有名な一節です。古典の授業で暗唱させられた方は多いのではないでしょうか。トヨザキもそのひとりであります。が、しかし、治承・寿永の内乱、いわゆる源平合戦を題材にして鎌倉時代前期に成立したとされる、こ
宇多丸さんが映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』についてクエンティン・タランティーノ監督にインタビュー。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』で放送された内容を書き起こししました。 (宇多丸)(インタビュー冒頭部分を聞いた... (宇内梨沙)お疲れさまでした。 (宇多丸)ということで、宇内さんは『ジョン・ウィック』シリーズはご覧になったこと、ありますか? (宇内梨沙)今回の監督インタビューがあるということで、一作目だけ見たんですけども。 (宇多丸)ちょうど今日、午後ローでもやっていましたけどもね。まあ、引退した殺し屋がね、ワンちゃんを殺され、愛車を取られ、「チクショーッ!」っていうね。ワンちゃんにそんな、ねえ。 (宇内梨沙)もう愛犬家が見たら「チクショーッ!」ですよ。 (宇多丸)フフフ(笑)。ということで、改めてチャド・スタエルスキ監督のプロフィールをご紹介しましょう。1
近年、日本の「万引き家族」、韓国の「パラサイト 半地下の家族」、アメリカの「ジョーカー」、イギリスの「家族を想うとき」など、各国の映画界から同時多発的に貧困、分断、格差をテーマに描いた映画が生まれている。フランスから誕生した「レ・ミゼラブル」も、その流れの1本に位置付けることができるだろう。本作で描かれるのも失業や生活難、犯罪、麻薬が日常風景の一部という地域に生きる人々の姿だ。移民とその子孫が人口の4分の1以上を占めながら、政治的にも移民排斥の態度を強めてきたフランス。今、社会に見捨てられた人々の“怒り”が鮮烈に映し出される。 「郊外(バンリュー)映画」もついにここまで来たか、というのが本作を初めて観たときの率直な感想だ。一切の手加減なしに、住民対警察、異なる宗教のコミュニティ同士の対立による暴力の炎上が、スピーディな展開と鬼気迫る緊張感で描かれている。 移民が多く集まる郊外を舞台にした社
『ラブひな』のヒットで「少年マガジン」表紙の不文律が変わった ――赤松先生がマンガ家としてデビューされたのはいつですか? 赤松 週刊連載のデビューは『A・Iが止まらない!』で、1994年です。 ――「週刊少年マガジン」が「週刊少年ジャンプ」(集英社)を抜いて発行部数トップに返り咲いた頃ですよね。 赤松 それは1997年のことですが、当時は『GTO』(藤沢とおる)や『金田一少年の事件簿』(原作:天樹征丸、作画:さとうふみや)などが連載され、掲載作品が次々とメディア化された時期です。 編集部全体が「日本一だ!」と色めき立っていましたね。「カーディガンを肩に巻いた業界人」じゃないですけど、編集者が颯爽と歩いていましたよ(笑)。 ――いまでこそ「少年マガジン」にはラブコメ作品が数多く掲載されていますが、ヤンキーマンガが全盛の当時としては赤松先生の作品は異色でした。 赤松 それまで「少年マガジン」の
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