はじめに 千葉大学/Nospareの米倉です.今回は感染症の数理モデルで良く使われる,SIRモデルの解説とそのベイズ推定について紹介します. SIRモデルとは 西浦(2021)に基づきSIRモデルを解説します.ここでは個人の異質性は考慮せず,全員等しく感染しやすく,回復しやすいことを暗に仮定します. SIRモデルとはコンパートメントモデルと呼ばれるモデルの一種で,感染症が流行している母集団(人口)をいくつかのコンパートメント(区間)に分類して分析をするモデルです. 具体的にはSIRモデルは母集団を Susceptible(感受性人口)→未感染かつ免疫を獲得していない人口. Infected(感染性人口)→感染症に感染した人口. Recovered(回復者人口)→免疫を獲得した人口or隔離された人口. の3つの状態に分割します.この上で以下のような仮定を置きます. 感染したらすぐにSからIに
先日の西浦先生のニコ生の発表を聞いていない人はぜひ聞いてください。 モデルとデータを以下のリポジトリでオープンにしていただいたので、モデルについて僕が分かる範囲内で少し解説を加えたいと思います。 github.com 実効再生産数を推定するコードが2種類ありまして、最尤推定(Maximum Likelihood Estimation, MLE)を使ったMLE版(Sungmok Jungさん作成)と 、ベイズ推定版(Andrei Akhmetzhanovさん作成)があります。どちらもコンセプトはほぼ同じで、実装が若干異なります。この記事では、ベイズ推定版(以降、元コードと呼びます)の流れを簡単に説明し、その後でその拡張を試みます。 ベイズ推定版の流れ 大きく分けて「データの集計」「back projection」「実効再生産数の推定」の3つの部分からなります。 データの集計 まずは日付ごとの
西浦先生が日本の実効再生産数を推定した。 コードはrstanで下記から取れる。 https://nbviewer.jupyter.org/github/contactmodel/COVID19-Japan-Reff/tree/master/ 解説動画を見逃したのでコードと関連論文からのお勉強になるが、肝としては、 ・知りたいのは「感染した日」である。 ・診断日もしくは報告日は、データを収集して統計を取っているのでわかる。 ・診断されるには検査される必要があるから、だいたい症状か接触歴があって、発症日はそこそこデータがある。 ・感染した瞬間、はもちろん発病(はほとんど)していないのでわからない。 という前提がある。PDFの「患者」の観測データについて、の項。 (誰からから感染させられる)ー感染日ー発症日ー診断日/報告日という一連の流れについて、まったく情報がないわけではなく、いままでの数理モ
諦めていた。 mikuhatsune.hatenadiary.com というのも、SEIRSモデルでS→Eになるパラメータ が、時間依存的なパラメータとして で定義されるが、これはrstanではできなさそうである。というのが、integrate_ode関数が時間依存のパラメータをどう頑張っても取れないみたいだからである。 ODEs with time dependent parameters - Modeling - The Stan Forums というわけでstanの神が助言してくれた。 ここの議論を読む限り、現状では無理そうだね。ODEやめて、時間を離散化して合計1を保つようにコード書くしかなさそう。— Kentaro Matsuura (@hankagosa) April 20, 2020 S/E/I/R の各コンパートメントは、ある時刻 においてすべて足せば和は1になるので、si
振り返りまとめを書きました。まずそちらをご覧ください。 ベイジアンモデリングという手法を使って日本と韓国のコロナ対策の有効性を考えます。 SIRDモデルまず背景にある数学的モデルを説明します。理論的な話に興味のない方は飛ばしてください。 ベースになっているのはよく知られているSIRDモデル(susceptible, infected, recovered and death model)です。これはこのように考えます。S[t]を時点tで未感染の人の数、I[t]を今感染している人の数(アクティブ)、R[t]を回復した人、D[t]を死亡した人の数とします。感染している人は各時点である確率βで未感染の人に病気をうつします。今感染している人はある確率aで回復し、確率dで死亡します。一旦回復すると免疫がついてもう病気にはかからなくなります。これを式にまとめてみましょう。Pは人口です。 新型コロナウイ
読んだ。 A Simulation on Potential Secondary Spread of Novel Coronavirus in an Exported Country Using a Stochastic Epidemic SEIR Model. - PubMed - NCBI COI:筆者はこの著者とは直接の関係はないので、純粋に統計解析のツッコミです。 こんなツイーヨを観測した。 A Simulation on Potential Secondary Spread of Novel Coronavirus in an Exported Country Using a Stochastic Epidemic SEIR Model. - PubMed - NCBI https://t.co/P2FQHeJkcX— 岩田健太郎 Kentaro Iwata (@georgebe
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