「近代的意識」と自発的結社 −丸山真男の政治戦略− 冨 田 宏 治 目 次 はじめに 「戦後啓蒙」と丸山真男 丸山の「政治戦略」と自発的結社 むすび はじめに 筆者はすでに拙稿「『近代主義』の射程−丸山眞男の政治思想」([講座現代の政治学 第三巻]『現代政治の理論と思想』、青木書店、一九九四年三月、所収)において、戦後日本を代表する政治思想家・丸山真男の思想的・学問的営為を再審し、再評価していくための予備的作業を試みた。それは、丸山に向けられてきた「近代主義」というステロタイプ的な批判の不当性を検証するために、丸山の求めた「近代」ないしは「近代的意識」なるものの意味内容とその「射程」を筆者なりに確定し、そのうえで、そうした「近代」を追求する丸山の課題意識が、彼の学問的営為のなかにどのようにつらぬかれてきたのかを探るという作業であった。 笹倉秀夫の詳細な丸山研究(1)の成果