▋揺らぐ「高専」のうわさ “イノベーティブ・ジャパン”プロジェクトでは、「高専研究」を一つの柱にしている。工学部を卒業したにもかかわらず、エンジニアになりそこね、「高等教育研究」という文系の研究世界に足を踏み入れて長くなったが、高専についてはほとんど知らない。「高専研究」という任務を拝命している身として恥ずかしいが、高専を知っている高等教育研究者がいないのも事実である。私が体験的に知っているのは、高校3年生の時に第1期の高専が創設され、超人気の学校としてデビューしたことである。入学志願倍率が10倍を超えていた時代だった。そして、大学を卒業して自動車会社に就職した時は、初期高専の卒業生が就職する時期で、彼らと一緒に同じ新入社員研修プログラムを受けた。宿舎で高専卒業生と同部屋になったこともあり、優秀な高専生に驚かされたことをよく覚えている。 1960年代の華々しいデビューと比較すれば、その後の