2016年12月22日、シリア軍総司令部はアレッポ市をテロリズムとテロリストから解放し、同地に安全と安定を回復したと発表した。アレッポ市はシリア有数の大都市で、その政治・経済・社会的重要性は首都であるダマスカスに次ぐものと考えられているため、ここをシリア政府が確保した意義は大きい。後述するが、政府側がアレッポ制圧を盤石なものとすれば2011年の紛争勃発以降、想定、或いは夢想されていたシリア紛争の帰趨についての構想・計画の一部にとどめを刺す結果となろう。 一方、アレッポ市の攻防については、民間人に対する「無差別攻撃」、「虐殺」や、食糧や物資の不足のような「人道危機」が国際的な注目を浴びた。これにより、アレッポと同様の危機的状況に陥っているイラクのモスル、イエメン、そしてシリア国内でもトルコ軍やアメリカ率いる連合軍の攻撃対象となっている地域の「人道危機」に対する国際的関心が著しく低下するという