JR九州は最終黒字をかろうじて確保するものの、129億円から34億円へと下方修正した。期初予想からの下振れは、4社合わせて約3700億円に達する。最終的な合計の赤字額は最大3000億円となる。 崩れた「8割回復」のシナリオ 6月頃にワクチン接種が完了し、数カ月かけて「利用がコロナ禍前の8割前後まで回復する」という各社のシナリオはあっさり崩れた。政府が7~9月に緊急事態宣言を発出したためで、今となってもコロナ禍に揺さぶられ続ける鉄道産業の苦境が鮮明だ。 東海道新幹線の8月の利用者数はコロナ禍前の3割程度に低迷した。JR東海の巣山芳樹副社長は「21年7~9月期の運輸収入はコロナ禍前の45%に回復するとみていたが、39%にとどまり、想定より209億円下回った」と話す。 では足元の利用はどうか。緊急事態宣言解除後の10月は、各社とも前年同月を上回る利用状況となっている。ただし、これまで利用が抑制さ