2016年の日本映画界は、非常に活況に満ちた一年となった。 2015年に続いて興行成績は好調を維持し続け、結果的に過去最高を記録した。さらに2010年代を代表するかのような3本の映画も登場した。『君の名は。』、『シン・ゴジラ』、そして『この世界の片隅に』だ。先に結論だけ述べておけば、この3本は「ポスト3.11の時代」を象徴する映画だった。 前編では、全体の情況を確認し、映画観客が能動性を高める現象や、評論家たちが影響力を失っていることなどを読み解いてきた。今回は3本を中心に映画の作品内容と、映画を取り巻く日本社会との関係を見ていく。 日本映画の中心となったアニメ 後編では、まず作品内容について見ていこう。ここまで触れてきたように、2016年の注目作3本──『君の名は。』、『シン・ゴジラ』、『この世界の片隅に』は、すべてアニメやアニメ出身者による映画だった。これはけっして恣意的な選択ではなく
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