皆さまは最近真っ黒いバナナを見たことがあるだろうか? 僕はない。 しかし、僕が子どもの頃ぐらいは近所のうらびれた八百屋に行けば、腐りかけの真っ黒いバナナを販売するおばあちゃんのお店があった。 いつの間にかそういうお店はなくなり、ある八百屋は垢抜け、ある八百屋はつぶれ、ある八百屋はスーパーになり、もう誰も黒いバナナなんて販売しなくなった。 もう一度黒いバナナを食べたい。そう思った僕は居ても立ってもいられず、外に飛び出した。 (text by 梅田カズヒコ) まずは近所の八百屋へ 時代は移り変わっていくものだと思う。 だから、変わることをむやみに否定するのは違うと思う。 しかし、時代に取り残されていく文化があったとしたら、それを懐かしむ自由が僕らにはある。 だけど誰も真っ黒いバナナを売る八百屋を懐かしんだりはしない。だから僕が懐かしもう。 『さあ、出て来い! 真っ黒いバナナよ!』 と息巻き地元