スキャンダルの渦中にいるマレーシアのナジブ・ラザク首相にとって、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の主催は気まずいタイミングのはずだったが・・・ 〔AFPBB News〕 スキャンダルの渦中にあるマレーシアのナジブ・ラザク首相にとって、自由な世界やそれほど自由でない世界の政治指導者たちと顔を合わせるには、今は耐え難いほどきまりの悪い時期だったはずだ。 ナジブ氏が設立を後押しした開発基金「1MDB」は現在、疑わしい取引に関する複数の国際捜査で名前が取り沙汰されている。 おまけに110億ドルもの債務を抱え、アップアップの状態だ。 だが、名前が明らかにされていない中東のある人物から7億ドルの寄付が個人口座に振り込まれたと報じられたばかりのナジブ氏は、クアラルンプールで先週開かれた会議のためにやって来た米国大統領と中国首相をもてなす機会を楽しんだように見えた。 それはそうだろう。バラク・
政府系投資会社「1MDB(ワン・マレーシア・デベロップメント)」に絡む自らの公金横領疑惑で与野党を含む反対勢力から攻勢をかけられていたマレーシアのナジブ首相。 ここにきて、ムヒディン副首相(当時)を更迭するなど、現職首相の絶対的権力を振りかざし、強権を次から次へと発動、反対勢力や国内外メディアを封じ込めた(参照記事)。 「ナジブ首相は強固だ」(政府関係者)と言われ、反ナジブ急先鋒のマハティール元首相ですら「私のところに来るナジブ批判の訪問者が激減した」と、現職首相の権力に甘んじている様子だ。 一方、当のナジブ首相はと言うと、1988年にアンワル元副首相を副首相のポストだけでなく与党のUMNO(統一マレー国民組織)副総裁からも解任した当時のマハティール同元首相ほどカリスマ性はない。 そのことを象徴するかのように、副首相解任後、ナジブ首相はムヒディン副首相のお膝元であるジョホールに急遽出向き反
試練を共有しながら神聖を尊ぶイスラム教徒の断食「ラマダン」の真っ只中のマレーシアが、政冶史上での最大の試練に直面している。現職首相が不正資金送金疑惑で当局から大捜査を受けるという前代未聞の事態に陥っているからだ。 しかし、ナジブ首相は「個人的流用」を否定しており、自ら退任する意思はなく、焦点は特別捜査チームが首相の政治力に屈せず、どこまで公明正大に調査を敢行し、公表するかにかかっている。 一方で、今回の疑惑リークはナジブ首相も確認済みの政府内の「機密文書」が出所と見られており、政局は早期退陣を主張する政敵のマハティール元首相をバックとする勢力に押される「ナジブ外し」に傾いている様子だ。 ナジブ陣営がこの勢力にどこまで対抗できるかが焦点となってきた。疑惑を払拭できなければ退陣を迫られるのは間違いない。 様々なスキャンダルがつきまとうなか、任期中に巨額の国家資産を横領しハワイに亡命したフィリピ
ミャンマーのイスラム系、少数派民族・ロヒンギャ族が難民化している密航船漂流問題は、“アジア最後のフロンティア”が抱える複雑な少数民族問題が、民主化や経済成長発展をも阻む今後の火種であることを露呈した。 それだけでなく、長年、疑惑を指摘されながらもその実態が不明だったタイやマレーシアなど東南アジアに蔓延る人身売買シンジケートの隠された正体を暴き始めている。 難民問題は人道・人権問題と政治問題が深く絡み遭う極めて複雑な問題だ。すでに、欧州では「EU難民」など域内全体の最大懸案事項にまで発展している。 ナチスドイツによるユダヤ人虐殺など第2次世界大戦後の後遺症をいまだ引きずる歴史的過去に加え、ロヒンギャ族への支援を打ち出すイスラム過激派との関与を憂慮する背景から、「難民問題は対岸の火事」と捉えがちな日本とは比較にならないほど関心が高まっている。 当事国の東南アジア諸国連合(ASEAN)、国連機関
マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑を暴いたサラワク・レポートの創立者で編集長のクレア・ルーキャッスル・ブラウン氏。元BBCのジャーナリストで、英国のブラウン元首相の義妹にあたる(写真提供:ブラウン氏) 窮地に立つマレーシアのナジブ首相 本シリーズ第1回の『マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑が明るみに』(3月26日付)および第2回『マレーシア首相一家と蜜月、大富豪ジョー・ローの謎』(3月31日付)で、マレーシア政府系投資会社「1MDB」が抱える同国企業史上最大の巨額借金と、それに伴う不正疑惑への関与が取り沙汰される華僑系大富豪ジョー・ロー氏の周辺について解説してきた。 こうしたナジブ首相一家とロー氏の不透明な関係や不審な金の流れなどの疑惑を、ソーシャルメディアや主要経済紙「Edge(エッジ)」が一部報道。 マレーシア国内では内外のメディアに報道規制が敷かれてきた中、ニューヨーク・タイ
空前絶後の汚職疑惑で激震が走っているマレーシア。日本では報道されていないが、その“余震”は、日本を含め他のアジア諸国に止まらず、中東、欧米諸国、さらにはケイマン諸島まで巻き込む様相に発展している。 震源は、ナジブ・ラザク首相の肝いりで2009年に設立されたマレーシア政府100%出資の国有投資会社「1マレーシア・デベロップメント(1MDB)」。 1MDBは、外国直接投資誘致を加速化し、持続した経済成長を図るという首相の野心的な目的の下に設立。 首都クアラルンプールを「イスラム金融のロンドン」にと、100社に上る外資企業を誘致し、50万人以上の雇用とイスラム金融のハブとなることを目指す国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TX)」建設(2018年竣工予定)を手掛けるなど、政府の最優先事業のエンジン役を務めてきた。 日本からは、国際協力銀行(JBIC)がJBIC保証付きの1MDB発行サム
長年の労使対立が招いた高コスト体質が原因の累積赤字は膨大に膨らみ、政府に依存してきた経営のツケも重くのしかかる中、たった4カ月間で計537人の犠牲者を出し、ブランドイメージは著しく低下。370便失踪事故の影響は第2四半期に反映される見通しで、8月中旬に発表されるが、大幅悪化は必至の状況だ。 2度目の大惨事に見舞われた翌日、7月18日午前のマレーシア株式市場で、同航空株価は前日比18%安までに大暴落し、年初来の下げ幅も約35%を記録。過去9カ月間の時価総額も40%以上落ちこみ、「倒産直前だ」(市場関係者)と危機的状況が続いている。 加えて、マレーシア航空は、希望者への年末までの航空券の払い戻しを発表。3月の事故以後も実施しなかった異例の措置で、「顧客の混乱や批判をかわすため」と、先手を打った形だが、大幅な売上高への影響は回避できない。 独自に入手した情報によると、撃墜事件が起きる前の6月、す
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く