国立の研究開発組織であり、日本で唯一の自然科学の総合研究所として知られる理化学研究所(理研)。この春、ある30代の研究者(以下、A氏)が理研を去り、中国の大学に移籍した。 A氏はこれまで、東京大学総長賞、文部科学大臣若手科学者賞を受賞したほか、とくに優れた若手研究者が政府から支援を受けられる卓越研究員への採用、英国の名門科学誌・ネイチャーへの論文掲載と、若くして数々の実績を上げてきた逸材だ。それほどの人物が、なぜ日本から出ていったのか。 事情に精通する複数の理研関係者への取材から見えてきたのは、権力を握る重鎮の研究者が若手研究者の自由な研究活動や論文発表を阻む、アカデミックハラスメント(アカハラ)の問題だ。その背景には日本独特の「講座制」による、研究者間での強い上下関係がある。 若手研究者が論文を書いて科学誌などに出したくても、重鎮の研究者から待ったをかけられ、2年、3年以上も塩漬けにされ
石油や石炭などの有機化合物は、地下深部や海底にある古生物の遺骸が圧力や温度によって変質して生じるものと考えられている。北海道石も同様で、火山活動の熱や熱水によって地下深部の古生物遺骸が変質した鉱物であると研究者らは推測している。このため、北海道石を調べることは、石油生成のメカニズム解明にもつながるという。 鉱石の保護のため詳細な産地は非公開だが、とかち鹿追ジオパークビジターセンターや北海道大学総合博物館などの一部博物館で標本の展示などを行う予定。 この研究の成果は、5月26日に開催した「日本地球惑星科学連合2023年」で口頭講演とポスターで発表された。 関連記事 プラチナ主成分の新鉱物「苫前鉱」 東大の研究チームが北海道で発見 東京大学物性研究所は、北海道苫前町で採集した白金族元素の粒子である「砂白金」からプラチナを主成分とする新種の鉱物を発見した。この鉱物を「苫前鉱」と命名。この成果はプ
先端技術の情報を漏えいしたとして逮捕された産業技術総合研究所の中国籍の研究員が、中国政府が海外から優秀な研究者を集める「千人計画」と呼ばれるプロジェクトに参加していたとみられることが、捜査関係者などへの取材で分かりました。警視庁は母国への技術貢献の一環として情報を漏えいした疑いもあるとみて、詳しいいきさつを調べています。 国立研究開発法人 産業技術総合研究所の上級主任研究員で、中国籍の権恒道容疑者(59)は、自身が研究するフッ素化合物に関する先端技術の情報を中国の化学製品の製造会社にメールで送って漏えいしたとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました。 捜査関係者によりますと、調べに対し容疑を否認しているということです。 これまでの調べで、権容疑者は科学技術の開発に貢献したとして中国政府から表彰を受けていたことなどが分かっていますが、中国政府が海外から優秀な人材を集める「千人計画」と呼
フッ素化合物に関する先端技術の情報を中国の企業に漏えいしたとして逮捕された産業技術総合研究所の研究員が、中国でも大学の教授や企業の役員などを兼任していたことが捜査関係者への取材で分かりました。 必要な手続きを取らず、兼任した可能性もあるということで、警視庁が情報漏洩に至る詳しいいきさつを調べています。 国立研究開発法人 産業技術総合研究所の上級主任研究員で、中国籍の権恒道容疑者(59)は、平成30年に自身が研究するフッ素化合物に関する技術情報を中国の企業に漏えいしたとして、不正競争防止法違反の疑いで警視庁に逮捕されました。 警視庁は、捜査に支障があるとして認否を明らかにしていません。 捜査関係者によりますと、権容疑者は中国の大学を卒業後、平成14年に産業技術総合研究所に入り、その後、中国で大学の教授や企業の役員などを兼任したということです。 兼任のうえで、必要な手続きをとらなかった可能性も
IQが高い人ほど難しい問題に「時間をかける」と判明!IQが高い人ほど難しい問題に「時間をかける」と判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部昔から頭の良さの指標に「難しい問題でも即座に答えに辿り着く」ことが含まれていると信じられていました。 フィクションでも、凡人がいくら時間をかけても解けなかった難問を、颯爽と現れて「即座に答える」天才が登場することがあります。 IQテストをはじめ多くの知能を図るテストも、制限時間内により多くの問題に応えることで、高成績を収められるようになっています。 また多くの人々は素早い意思決定ができる人は有能とみなす一方で、考え込む時間が長い人は「消極的」「無能」とみなしがちになります。 しかし意外なことに「知能の高さ」と答えを出す「意思決定のスピード」そして「答えの正しさ」の3つの関連性を調べた研究は少なく、本当に意思決定の早い人が知能が高く答えが
「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうあります。 独裁からこういった選挙があるけど政権交代の可能性がほぼない国までひっくるめて政治学では「権威主義」、「権威主義体制」と言い、近年では今井真士『権威主義体制と政治制度』、エリカ・フランツ『権威主義』のように権威主義を分析した本や、川中豪『競争と秩序』のように民主主義と権威主義の狭間で動くような国(東南アジアの国々)を分析した本も出ています。 こうした中で本書は権威主義体制の戦略、特に権威主義体制における選挙の利用について分析した本になります。 権威主義体制に選挙は必要ないような気もしますが、先
中国は、米国などの西側諸国の中国に対する「偏った認識」をたびたび批判しているが、環球時報は、西側諸国の一部の「いわゆる中国通」が中国研究の素養がなく、反中政治勢力がパッケージ化しただけで、「偏見拡散の道化役」をしていると指摘しました。 米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。 中国:「欧米は中国を理解していない」 清華大学戦略安全保障研究センターの達巍所長は、各国の「中国通」を分析しています。例えば米国では、旧世代の「中国通」の多くは中国での生活が長く、中国人の友人も多く、彼らの中国研究は主に中国での経験や人脈に基づいていたとしています。 歴代の駐中国大使のうち、2代目のヒュンメル・アーサー・W、4代目のジェームズ・ロデリック・リリー、5代目のステイプルトン・ロイは、いずれも中国生まれ
Dina Spector,Erin Snodgrass [原文] (翻訳:Ito Yasuko、編集:井上俊彦) May. 28, 2023, 03:00 PM サイエンス 477,921 人間とネコの視覚、最大の違いは網膜。目の奥にある組織の層で、視細胞と呼ばれる細胞がある。 Ahsan Mohammed Ahmed/Anadolu Agency via Getty Images 人間とネコの視覚の最大の違いは、網膜にある。 ネコは人間のように色を見分けることができず、遠くを見ることもできない。 だが暗闇の中で見る能力は、人間よりもネコの方が上だ。 ネコはその光る目の奥に、何を見ているのだろうか? アーティストのニコライ・ラム(Nickolay Lamm)は、10年近く前に、動物の視覚の専門家3人に話を聞き、ネコが人間と比べてどのように世界を見ているのか、仮説に基づいて視覚的に示した。
(CNN) 夏の蒸し暑い夜に人を悩ませる蚊の存在。体臭のどんな成分が蚊を引き寄せているのかを調べた研究結果が、このほど学術誌に発表された。 研究チームはスケートリンクほどの大きさの実験施設にさまざまな人の体臭を送り込み、蚊の行動を観察することで、蚊を引き寄せている化学物質を特定した。この研究は19日の科学誌カレントバイオロジーに発表された。 蚊はハエの仲間でほとんどは花の蜜を餌としているが、産卵を控えたメスはたんぱく源を求めて血液を吸う。 刺された場合、大抵は赤く腫れてかゆみを感じるだけで済む。しかし蚊が寄生虫やウイルスを媒介して、マラリアなどの感染症にかかることもある。 論文を執筆したジョンズ・ホプキンス大学のコナー・マクメニマン氏によると、世界では5歳未満の子どもや妊婦を中心に年間60万人以上がマラリアのために死亡している。 そこでマクメニマン氏の研究チームは、マラリアを媒介する蚊がど
Students in Vermont last year turned their backs on Charles Murray, co-author of The Bell Curve, ‘which drew links between race and IQ scores’. Photograph: Lisa Rathke/AP Students in Vermont last year turned their backs on Charles Murray, co-author of The Bell Curve, ‘which drew links between race and IQ scores’. Photograph: Lisa Rathke/AP
ジンベエザメは研究者のやりたいことを理解して、協力的になれるようです。 西オーストラリア大学(UWA)の海洋生物学者らは過去6年にわたり、同国沿岸に暮らすジンベエザメ72匹の皮膚から寄生生物を採取する調査を続けてきました。 その結果、ダイバーがお馴染みの採取器具を持って近づくだけで、ジンベエザメたちは泳ぐスピードを遅くしたり、完全に止まってくれるようになったのです。 寄生生物の除去はジンベエザメにとっても有益なので、ダイバーを”掃除係”として認めてくれたのかもしれません。 研究の詳細は、2023年5月14日付で科学雑誌『Fishes』に掲載されています。 Whale sharks found to slow down to allow researchers to scrape off parasites https://phys.org/news/2023-05-whale-sharks
剽窃については、こっちの記事を読んでください。 oxon.hatenablog.com 1. 経緯 2021/7/4 にある国際会議のプロシーディングス論文(以降、論文 A)を読んでいたところ、そのイントロに見覚えのある複数の文章を見つけ、さらにページを進めると自分が作った図と全く同じ、ただしその著者がいちから作り直したものが掲載されていました。 お、僕の論文を剽窃している他の論文を見つけてしまったぞ。どうしよう、このボタンは押してみたい。— OKUMURA, Akira(奥村 曉) (@AkiraOkumura) July 4, 2021 この論文に cite されているなというのは前から知っていたのだけど、ちょっと調べ物をしていて読んでみたらイントロでとんでもない量の剽窃が、という。https://t.co/mvyGZbAKgZ— OKUMURA, Akira(奥村 曉) (@Akir
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