海外からメイドを受け入れるという形で始まった日本の実質的な移民受け入れ政策について前回はお伝えした。しかし、メイドを使うことすらほとんど経験のない日本にとって、移民の受け入れはハードルが高い。 今回は移民によって国を発展させてきたとも言えるシンガポールの例を中心に、移民受け入れの課題を浮き彫りにしてみたいと思う。 移民によって成長してきたシンガポールが、その政策を転換し始めたきっかけは、2011年の総選挙だった。 与党・人民行動党(PAP)が史上最低の得票率に甘んじ、現職の閣僚が落選したうえ、さらに集団選挙区で史上初めて野党に敗北するという、“屈辱的な歴史的後退”を強いられたことが背景にある。 与党の移民政策に国民が猛反発 シンガポール国民が野党に支持を打ち出した最大の理由は、政府が進める「外国人移民政策」への反発と不満からだった。2006年から2011年の間、シンガポール人の増加率が約5