―― これまでアメリカは世界の支配者のごとく振る舞い、「パクス・アメリカーナ」を形成していました。しかし、アメリカの影響力は著しく低下しており、アメリカに批判的な国も増えています。進藤さんは新著『日本の戦略力 同盟の流儀とは何か』(筑摩選書)で「パクス・アメリカーナ」の終焉について論じていますが、アメリカ衰退の原因はどこにあると考えていますか。 進藤榮一氏(以下、進藤) 「パクス・アメリカーナ」が終焉に向かっている要因は、いくつかあげることができます。一つは、軍事力の弱体化です。 2021年8月にアメリカはアフガニスタン戦争から撤退しました。この戦争は20年にも及び、「アメリカ史上最も長い戦争」と称されました。2020年度予算までにアメリカが投じた戦費は6・4兆ドル(約930兆円)にも達し、戦地で死亡した米軍兵士も7000人に及びます。 アフガニスタンは帝国の墓場と呼ばれています。19世紀
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