不安定な国内情勢を憂慮した明治新政府は、社会に渦巻く不平・不満や民心の動向を把握するため、密偵・諜者を全国に派遣した。名前を変え、経歴を隠し、思想・信条を偽り諜報活動に従事した彼らは、どのように情報の収集を行い、何を報告したのか。膨大な資料を博捜し、江戸時代の忍者・隠密と近代警察組織との間に位置する、密偵たちの真相を解明。 御庭番と警察のあいだ―プロローグ/密偵を追って(荘村省三の実像〈日本聖公会最初の受洗者/幕末の荘村省三/維新後の荘村/密偵荘村省三〉/関信三こと安藤劉太郞〈幼稚園教育の先覚者/密偵安藤劉太郞〉以下細目略)/維新政府お抱えの密偵集団(密偵組織の仕組み/密偵の群れ―誰が密偵か)/教会に潜入した密偵(暗躍する異宗徒掛諜者/大阪のキリスト教―伊沢道一の報告/横浜のキリスト教―安藤劉太郞らの報告)/地方政情を探る密偵(大伴千秋の探索活動と情報ルート/小原沢重雄の地方探索―士族層と
【内容紹介】 シリーズ 平凡社新書 523 出版年月 2010/05 ISBN 9784582855234 Cコード・NDCコード 0287 NDC 829.11 判型・頁数 新書 376ページ ハングルは15世紀に、驚くほど精緻な「音の分析」をもとに創られた文字。現代の言語学者も驚嘆するその〈緻密な仕組み〉とは? 圧倒的な漢字文化の只中で、文字革命はいかに行われたのか? ハングルは、15世紀に李氏朝鮮で創られた〈文字〉である。精緻な「音の分析」をもとに創られたこの文字は、現代の言語学者も驚嘆するほどの〈緻密な仕組み〉を備えている。これほどの文字を、第四代国王・世宗(セジョン)と、彼に仕えた若き秀才たちはどのように創ったのだろうか? また、当時の朝鮮は、行政を執り行う際の文書も、歴史を記述するのも、風景や人情を詠む詩歌も、すべてに漢字が用いられてきた。しかも、隣り合う中国との外交などでの付
タイトルの如く武術に特化した本だ。武器甲冑系の図説本はストライクすぎて購入するとキリがないのだが、本書は必読に値する。ロングソードやダガー、スピアなど武器毎の戦闘方法を豊富なイラストつき(師匠と弟子が戦闘する設定)で解説されている。それも甲冑同士の格闘戦、転倒した場合の床技からトーナメントでの効果的なランス突撃法まで紹介しており、日本語で西洋武術をここまで網羅している本は見た事が無く、極めて稀である。 これまで西洋武術といえば、力押しのイメージが先行していた。しかし本書ではフェシトビュッフと呼ばれるヨーロッパ各国の武術指南書に基づいた科学的な戦闘形式を見事に暴いている。 私達が思い浮かべる中世とは、ルネッサンス中期の1450年代を指す。その時サイエンスが発展した。ルネッサンスの影響は芸術や建築だけにとどまらず、武術もまたその精神にのっとり革新をもたらした。つまり客観的な観察によって得られた
イスラームと科学 [著]パルヴェーズ・フッドボーイ イスラム圏の科学はひどい状況にある。 中世には、停滞するヨーロッパを尻目に世界最先端だった。でも宗教がそこに介入し、物理法則なども神の意志にすぎないとされ、科学を研究するより、神の意志をコーラン解釈から読み取ることが優先された。そしていまや、一部イスラム圏の「科学」と教育の相当部分は、西洋科学をイスラム経典解釈にこじつけて「イスラム的科学」なるものをでっちあげる行為に堕している——。 こうした状況を、世界的な物理学者でイスラム教徒である著者は、深く憂慮し、イスラム社会の大きな停滞要因だと指摘する。だが本書は、イスラム教という宗教を批判するのではない。宗教と科学や理性の領域とを区別しない宗教や規範の野放図な侵入すべてに伴う、普遍的な問題の指摘が狙いだ。 イスラム圏の課題理解と同時に、他のどこでも起きかねない事態への戒めとして多くの人に読んで
2010年8月10日火曜日 近藤好和『武具の日本史』 平凡社新書、8月の新刊をご紹介します。 近藤好和『武具の日本史』280ページ、定価903円(税込)、ISBN:978-4-582-85539-5 ■概要 日本の歴史は戦争によって大きく転換してきた。 ではどんな武具で戦ってきたのか? 古代から幕末までの攻撃具(弓箭、刀剣、鉄炮、馬具等)と 防御具(甲冑、腹当、小具足等)を 細部にわたり図解した「武具の小百科」。 貴重な遺品を中心とした80点以上の図版を収録し、 写真を見ているだけでも様々な発見がある。 日本史ファンから歴史の学習まで、 幅広く使うことができる必携の1冊。 ■目次 序章 武具の歴史的変遷──本書の視点と構成 武具は攻撃具と防御具の総称 日本の武具の二つの特徴──高い美術的価値、宗教施設への奉納 研究が遅れた武具の実用論/武具は歴史的モノ資料 三つの基本資料──遺品・文献・絵
WIRED VISIONの連載「エコ技術研究者に訊く」で最も反響の大きかった回が、東京工業大学 矢部孝教授の研究を紹介した「世界は、石油文明からマグネシウム文明へ」でした。 矢部教授が提唱するのは、「マグネシウム循環社会」というビジョンです。この研究は、海水からマグネシウム化合物を取りだし、太陽光励起レーザーで金属マグネシウムに製錬。金属マグネシウムを、自動車用の金属燃料電池や発電所の燃料として利用するという壮大なものです。生成される酸化マグネシウムは太陽光励起レーザーで再度金属マグネシウムに戻されます。 はてなブックマークなどでも、さまざまな意見が寄せられたので、これに答える形で「『世界は、石油文明からマグネシウム文明へ』矢部教授の回答」を掲載しました。 そうしたところ、ちょうどよいタイミングでPHP研究所からお話があり、このたび『マグネシウム文明論』(矢部孝・山路達也、PHP新書)を発
→紀伊國屋書店で購入 国語学者で語源と異体字の研究で著名な杉本つとむ氏が多年にわたって書きためた文字学に関する論文をまとめた本である。杉本氏には本欄でもとりあげた『漢字百珍』という好著があるが、文字学の本は意外にも本書がはじめてだそうである。 本書は第Ⅰ篇「漢字・仮字の本質を考える」と第Ⅱ篇「漢字はどう研究されたか」の二部にわかれる。 第Ⅰ篇「漢字・仮字の本質を考える」は理論篇で、日本における漢字受容史と異体字、宛字、仮名を考察した論文が集められている。 長年、文字を研究してきた碩学だけに興味深い事例がふんだんに登場し、貴重な図版も多数収録されていて勉強になったが、理論的考察となるとどうだろうか。著者には江戸の本草学を紹介した『江戸の博物学者』というすぐれた本があるが、博物学的な観察こそが著者の本領ではないかという気がする。 片仮名と平仮名がどう違うかを論じた「漢字周辺文字としての<かな>
社会生活一般において、「常識」「普通」「一般的」なんぞという概念を忌み嫌う私だが、こと「組版」に関してはそうでもない。 先人の言説に学ぶことなく、それに逆らうようなことは主張すべきではないとも思うから。 どなたかの参考になるかもしれないので、組版に関しての文献を手持ちの中から紹介しておく。 個々に関してはとくにリンクは張らず説明もしないが、書名をコピペして検索しさえすれば容易に版元や通販及び書評など様々なWebページに辿り着けることと思う。 ※ISBNコードを付記し、リンクを張った(100313修正)。 まず筆頭には『日本語文書の組版方法』(JIS X 4051)*1を挙げなければならないが、次には、業界外の方までもが 日本語の組版の基本を知りたくて調べたときに、書籍としては次の三冊がよく言及されていた。 と挙げられている三冊。→ 参照 『組版原論 タイポグラフィと活字・写植・DTP』 (
先日の記事で進行中としていた書籍が店頭に並ぶ頃、本ブログの読者にも関心があるであろう内容なので紹介しておくことにする。 校正のこころ 作者: 大西寿男出版社/メーカー: 創元社発売日: 2009/11/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (13件) を見る 上はダストカバーと腰巻きの表1部分*1。 画面では判りづらいが、箔押しをあしらった上品な装幀は濱崎実幸さん(男性)。 奥付や目次、参考文献など紹介しておいた方がいいと思う部分もあるが、色々とややこしくて……割愛。 版元=創元社の書籍案内 該当ページ。 本文組版仕様は、 イワタオールド明朝体R, 14級(丸パーレン内12級)*41字詰*1816行*2(行送り24H), ぶら下がり方法=標準, 禁則処理=弱い禁則, 禁則調整方式=調整量を優先とし、文字組みアキ量設定は私の(も)「文字組みアキ量設定」_
2009年11月24日12:30 カテゴリ 価格を捨てる勇気 - 書評 - フリー 原著は出てすぐ購入。日本語版は@freemiumjpよりPDF1万人「献本」キャンペーンにて入手御礼。 フリー Chris Anderson 小林弘人監 / 高橋則明訳 [原著:Free] 本書の期待の高さは、本blogで「ネットビジネスの終わり」で存在を紹介しただけに等しいにも関わらず今月のベスト1セラーであることからも疑いようがない。 予約を入れたみなさん、安心していい。本書は間違いなく来年から始まる10年代を生き抜くのに欠かせない一冊だ。フリーであれプレミアムを払って読むのであれ、今後は本書を読んでいることがエコノミック・アニマルとしての必要条件になる。 本書「フリー」は、無料とは単にN円からN円引きした価格、すなわち 0 != N -- N でないということを、すでに多くのエコノミック・ビーイングが
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く