2013年6月22日 図書館デジタル化の波紋、オープンアクセスと出版は両立するか 国立国会図書館が、34万冊以上の著作権処理が完了した本や雑誌をインターネットで公開している近代デジタルライブラリー。この図書館資料のデジタル化をめぐって巻き起こった議論を追いました。 刊行中の本の公開は死活問題 近代デジタルライブラリー、通称「近デジ」が今月になって、インターネットで話題を呼びました。 インターネットに公開されたデジタル化資料が日本出版者協議会の要望により一部が一時公開停止になっているという話です。 この対応をめぐってスラッシュドットやTwitterなどインターネット上では、出版社側に批判の声が集まりました。 そこで、公開差し止めを要望した「大蔵出版」の社長、青山さんにお話を伺いました。 当初は正当だという理由で取り合われなかった 『大正新脩大蔵経』全88巻が突然近デジ上に公開された
関連トピックス東芝 家庭用DVD録画機をめぐり、ダビング回数が制限されるデジタル放送専用機でも、メーカーが著作権団体に「補償金」を払うべきかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は、団体側の上告を棄却する決定をした。8日付。「支払う義務はない」として団体側の敗訴とした一、二審判決が確定した。 映画会社などの団体でつくる「私的録画補償金管理協会」(東京)が、支払いを拒否した東芝に約1億4千万円の支払いを求めて訴えていた。 補償金は著作権料の一種。ダビングするたびに個人が支払うのは現実的でないため、メーカーが機器の価格に一定額を上乗せして購入者から徴収。まとめて協会に支払い、協会が著作権者である作家や俳優らに分配する仕組みだ。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員の方)無料登録で気軽にお試し! サービスのご
別に業界がなくなったって音楽は不滅だぜ… 今更、コピーフリーを宣言する、というのは音楽業界の壮大な罠だ。違法ダウンロードと違法コピーの区別はつかない。カジュアルにコピーすることを可能にさせて著作権侵害のハードルを下げておいてダウンロードで捕まえる。主に犠牲になるのは中高生だろう。 ダウンロードの刑事罰化を実現した今となってはもっとも重要なことは、冤罪を起こさない、冤罪でなくてもよくわからなくてやってしまったことについて短絡的に罪を問わない、という事だと思う。そのために必要なのは、きちんとしたコンテンツ管理だ。だから、音楽業界(にかぎらずコンテンツ業界)が今回の刑事罰化への対応として一番やらなければならないのは、「捕まえやすくなったからDRMフリーね」じゃなくて、消費者保護のためのコンテンツ管理システムの強化なんだよ。いいか、お前ら自分たちでその道を選んだはずなんだぞ?DRMフリーにしたらコ
隣接権問題についてのインタビュー特集。漫画家の赤松健氏に聞いた「赤松健は隣接権とそれを巡る議論をこう見る」に続き、第2回では主に法制度の観点から福井健策弁護士に見解を聞いている。 前編に引き続きお届けするこの回では、さらに問題の深遠に足を踏み入れ、目指すべき方向性を考える。ロングインタビューだが、ぜひ前編と併せてご覧いただきたい。 弁護士(日本・ニューヨーク州)骨董通り法律事務所代表パートナー 日本大学芸術学部客員教授 1965年生まれ。神奈川県出身。東京大学、コロンビア大学ロースクール卒。著作権法や芸術・文化に関わる法律・法制度に明るく、二次創作や、TPPが著作権そしてコンテンツビジネスに与える影響についても積極的に論じている。著書に『著作権の世紀 ――変わる「情報の独占制度」』(集英社新書)などがある。「自炊」についても多くのメディアでコメントし、ニコニコ生放送『ネットの羅針盤』『「自
違法ダウンロード刑罰化への津田大介氏の国会参考人発言を書き起こしました 2012-06-20 平成24年6月19日の文教科学委員会における、津田大介氏の参考人発言を書き起こしました。津田氏の発言は非常にわかりやすく、書き起こしたら違法ダウンロード刑罰化問題について理解する人が増えるのではないかと思ったからです。 なお、見出しの追加は僕によるものです。また発言内容に関して、一部てにをはの加筆修正、前後重複する発言の一部修正、そして「あー」「まあ」「やはり」などは相当数削除しました。 期間限定ですが、ニコニコ生放送でタイムシフト視聴が可能です。津田大介氏の発言は3:36:00頃から20分間ほどです。かなり長文なので、動画が観れる方は読むより観るほうが早いかもしれません。ではどうぞ。 前段、自己紹介 みなさんよろしくお願いします。津田と申します。 すいません、まず最初に、こんな不謹慎な金髪をこん
- 他誌掲載に際しての追記(2012/07/03 23:15) 本ブログは「法曹関係者ではない」個人ブログです。趣味の法令解釈であって、正確性は各々で判断してください。また、下記解釈の是非に関わらず違法ファイルのダウンロードは「違法」です。違法行為を助長する意図はないことをご理解ください。 さらに、下記解釈には以下の懸念があります。 法令・省令で「有料著作物等」の定義が狭められ確定される可能性がある 著作隣接権についての解釈が別途必要である 施行前の条文で、今後状況が変わる場合もあります。 以上、追記 - 煽り記事です。勘違いだったらごめんなさい。 0,導入 小倉先生のブログを読んでブッたまげた。同時に「まず条文に当たるべし」という基本を蔑ろにしていた自分が恥ずかしい。これほどまでウンコみたいな条文だとは思わなかった。 これはもしかすると、世紀のザル法かもしれない・・・。 法案の成立過程が
「出版物原版権」ができると…個人に代わって紙の本をスキャンして電子化する「自炊代行」をしている会社=東京都内 本格的な電子書籍時代に向けて、出版社に「出版物原版権」という新たな権利を与える構想が浮上している。紙の本を裁断・スキャンして電子化する「自炊」やIT企業が直接作家と契約するなどして、出版社が許していない電子書籍が流通するのを防ぐ狙いがある。 中川正春前文部科学相が座長をつとめる国会議員の勉強会(中川勉強会)が20日に報告をまとめる。メンバーの議員は、著作権法の改正などによって、「今年度内にも構想を法律にしたい」としている。 文化庁も、著作権法を専門とする学者を集め、新しい権利をつくる際の課題や、権利の範囲などを検討している。 著作権法は、レコード会社やテレビ局には、音楽や番組という作品を伝える役割を果たしているとして、著作権の一種である「著作隣接権」を与えている。だが、出版
P2Pとかその辺のお話 WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。 以下の文章は、TorrentFreakの「French 'Three Strikes' Law Slashes Piracy, But Fails to Boost Sales」という記事を翻訳したものである。 原典:TorrentFreak 原題:French 'Three Strikes' Law Slashes Piracy, But Fails to Boost Sales 著者:Ernesto 日付:May 30, 2012 ライセンス: CC BY 仏スリーストライク法の影響に関する新たな報告書によると、昨年、フランスのインターネット海賊行為は半分に減少したのだという。世界中のロビイストたちがこの結果をネタに政治家にアピ
電子書籍などの新しい出版市場が拡大していく中で、権利処理の複雑化や悪質な権利侵害に対抗するため、出版社側が付与を提案している著作隣接権について、日本漫画家協会が見解を示した。 「残念ながら否定的にならざるを得ない」――やなせたかし氏が理事長を務める社団法人日本漫画家協会が、出版者(社)への著作隣接権付与についてこのような見解を4月2日に発表した。 この動きは、電子書籍などの新しい出版市場が拡大していく中で、権利処理の複雑化や悪質な権利侵害に対抗するため、出版社側が付与を提案している著作隣接権について、著作者団体が見解を述べたもの。同協会の常任理事には、ウノ・カマキリ氏、さいとう・たかを氏、里中満智子氏、ちばてつや氏、松本零士氏などが名を連ねている。 同見解では、隣接権付与による権利情報管理と処理能力の向上がメリットだとする出版者側の主張に一定の理解を示しているが、個別の出版者に権利を付与す
出版社に著作隣接権を云々という議論が喧しいようです。この点について私も、日経新聞の取材を受け、その一部が今日の朝刊に掲載されたようです。 ただ、著作隣接権を求める理由として出版社サイドが表向き唱えていることを実現するためには、別の方法をとった方が早道なのになあと正直思ったりする私がいます。 著作物の利用を円滑化するためには、権利処理の窓口を一本化することが有益です。そして、この一本化された窓口は、その著作物の利活用の活性化とは別の思惑で恣意的な利用許諾拒否を行わないことが有益です。その意味では、JASRAC類似の権利処理機構を、文芸著作物や漫画の著作物についても作ってしまうのが有益です。 とはいえ、漫画雑誌を発行している出版社からすると、自社の雑誌で連載させている作品の中で特に人気が出た作品について、他の出版社から自由に単行本が出されてしまうというのは問題でしょう。その意味では、出版社にも
山本博司参議院議員のブログエントリーに次のようなコメントを投稿してみました。 私は、中央大学法学部で著作権法のゼミを担当し、また、「著作権法コンメンタール」(東京布井出版)の編集代表を務めた弁護士です。 違法コンテンツの氾濫を防ぐには、作家たちが著作権を行使すれば足りるのであって、出版社に著作隣接権を認める必要はありません。その行使を出版社に委ねたいという作家は、出版契約の存続期間中、著作権(またはその中の送信可能化権)を出版社に時限的に信託譲渡すれば足ります。 出版社に隣接権を認めた場合、出版社には物理的な書籍の許諾しかしたくないと思っている作家たちが、出版社とは別に、自分の作品を電子書籍化することができなくなってしまいます。また、出版契約よりも隣接権の方が存続期間が長いので、出版契約終了後も、作家たちは、自分の作品を、他の出版社から出版することができなくなってしまいます。そしてこの弊害
結論からいうと、もう「情報それ自体を売る」ことはできませんよ、という話だ。新聞社・出版社・音楽会社・映画会社等々、「情報それ自体を売る」ことを生業にしてきた人たちは、そろそろ商売替えをする準備をしたほうがいい。 情報は、本質的にカネとは相性が悪く、直接、カネとは交換できない(つまり売ることはできない)。カネはモノと同じく排他性をもっているが、情報には排他性が全くなく、カネと情報は根本的に異質なものだからだ。 今日のエントリーはこの論旨を理論的に説明していく。評価経済論の骨格をなす概念なので、興味のある方はぜひ読んでみてほしい。 モノ・サービス・情報、そしてカネ 経済とは、人間にとって価値のある何かしらを生産・分配・消費する過程のことである。 (「カネを媒介としない新しい経済ー21世紀の評価経済論」の図に一部加筆。(5)で禁止マークがカネと情報が直接交換できないことを指し示している) 経済に
「『自炊』代行2社にスキャン差し止め要求 東野圭吾さんら作家が提訴 - ITmedia ニュース」、この提訴以来、自炊代行についての意見を多く見ますが、特に以下の3点を論じているものが目に付きます。 著作権違反の有無。この「『自炊』の代行は私的複製に該当するか」という点は、重要な論点だと思います(そして該当しないとなれば、現行の著作権が実態にマッチしているかという議論に続いてくれるとよいと思います)。 裁断の是非。しかし私には感傷の押し付けのように感じられ、議論するところではないように思えます。 「自炊」代行によって「漫画家や作家が近い将来職業として成立しな」くなるか。それが差し止めを提訴する理由になるかも含めて微妙な点ですが、議論はされてもよいと思います。 気になるのは3点目の実際の議論。「自炊」代行についての誤解に基づいている意見が見られることです。例えば「アゴラ : 自炊代行提訴につ
今回、「自炊代行」を業とする二社に対して、著名な作家・漫画家7氏が差止めを求める訴えを提起したと報道されています。これについては、「作家は自分たちの権利のことばかりを考えて、読者(お客さん)のことを考えていない」 という批判がなされています。ツイッターでの私のタイムライン上では、これに賛同する賛同する意見が大勢です。 しかし、私はまったくそれには共感しません。 まず、われわれが個人として行う「自炊」(のかなりの部分)は著作権侵害とならないが、その「代行」(のほとんど)は侵害となるということです。この点は著作権法30条に関する法解釈学上の議論が要りますが、少なくとも、「自炊代行」が著作権侵害となることがある、現在の「自炊代行」業のかなりの部分が著作権侵害となるということについては、専門家の見解はほぼ一致すると思います(福井健策弁護士の意見を参照)。 とはいえ、「アゴラ」の読者の大半は、著作権
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