将棋の世界を舞台にした「将棋漫画」が花盛りだ。雑誌に続々と連載され、単行本も人気を集める。今、なぜ将棋が再び漫画の題材に?(岩岡千景) 青年漫画誌「ヤングアニマル」(白泉社)で連載中の「3月のライオン」は、十七歳のプロ棋士の物語。幼いころ交通事故で家族を失った少年が、父の友人の棋士に引き取られ将棋の道へ入る。心に深い孤独を抱え将棋に向かう少年だが、ふと出会った三姉妹と接するうちに、失ったものを取り戻していく。 七巻まで刊行された単行本も人気で、重版が続く。作者は、美大が舞台の恋物語「ハチミツとクローバー」で知られる羽海野(うみの)チカさん。この作品で、自分と闘う天才少女を深く描写した羽海野さんに「一対一の勝負を描かせたらすごいだろう」と、白泉社の編集者友田亮さんが題材に将棋かボクシングを勧め、将棋が選ばれたという。 少年の恋物語と重ねて、トップ棋士なら年間八十近い対局をこなすプロの生活や、