【パリ宮川裕章】フランス原子力安全機関が国内の原子力施設79カ所を対象に実施した安全評価(ストレステスト)の結果、原子炉58基などの安全を確保する改修工事などの追加費用が約100億ユーロ(約1兆円)に上ることが分かり、波紋を広げている。原発問題は4月の大統領選の争点に浮上しており、結果を受け、原発推進の是非を巡り与野党が舌戦を繰り広げている。 フィヨン仏首相は東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月、欧州連合(EU)に先立ってテスト実施を決め、今年1月3日、安全機関から政府に報告書が提出された。報告書は仏電力公社(EDF)や原子力大手のアレバ社などに対して▽緊急時に対応できる強固な指令室の設置▽電源喪失に備えた予備電源の確保▽使用済み核燃料プールの安全強化--などを徹底するよう求めている。 安全機関のラコスト総裁は仏メディアに「予備電源のディーゼル発電機だけでも20億ユーロはかかる。巨額の投