いよいよ、夏が本格化しそうな気配がするので、本気で外に出たくない派である俺はフランセス・A・イエイツの『記憶術』をマトメるぜ! ということで当ブログにおいて最もハードコアなコンテンツである「ひとりぼっちの読書会」シリーズとして、精神史・思想史における大名著にとりかかります。現代社会を考察するのに役立つような思想書・哲学書ならいざしらず、「紙がなかった頃の人たちはこんな風にして物事の記憶をしていたんだよ」なんてところから始まる本に誰が興味を持つのでしょうか? これまで以上にスルーされることが予想されますが、勝手に頑張ります。 本書の主題は、大半の読者には馴染のないものであろう。ギリシア人は多くの学芸や技術を発明したが、記憶術というものをも発明し、それが他の技芸と同様にローマからさらにヨーロッパの伝統へと下っていったことを御存知の方は、殆んどあるまい。(P.15) 以上は序の一番最初からの引用