ペットフード協会の推計によると、日本国内の犬の飼育頭数は2008年をピークに、2010年代に入って右肩下がりになっている。また、血統書発行団体であるジャパンケネルクラブ(JKC)の犬籍登録数も2010年に40万匹の大台を割り、減少傾向にある。 こうした現状に、ペット業界の危機感が高まっている。そしてその危機感の高まりによってペット業界は、いかに販売頭数を増やすか――という方向へと突き進んでいる。 少子高齢化にともなう市場の縮小は、これまで日本国内のあらゆる業界が経験してきた。そんななかで、「子どもが減って困った。よし、子どもを増やそう」という経営方針を掲げる企業または業界団体があっただろうか。常識的に考えれば、既存の製品の付加価値を高めたり、培った技術をもとに他の産業への新規参入をはかったり、構造改革による体質強化をしたり、はたまた業界再編を目指したり、といった経営努力を重ねてきたはずだ。