猫を飼おうと思えば、野良猫を拾ってきたり、近所で生まれた子猫をもらったり――というのが一般的だった。 だが空前の「猫ブーム」で、そんな状況に変化が起きつつある。ペットショップで純血種を買うという消費行動が増え始めたのだ。 結果として、猫の繁殖業者はバブル状態。だがこのことは、猫の遺伝性疾患の蔓延(まんえん)につながりかねない。専門家の間では、懸念が広がっている。 (文/太田匡彦) 生物学の基礎からわかりやすく解説 「繁殖現場から遺伝子病を減らす」 そんなテーマを掲げたセミナーを、ペットショップ大手AHBが取引先の繁殖業者を対象に全国で開催している。同社の国際小動物医学研究所に所属する獣医師らが、主に犬の遺伝性疾患について解説する場だ。 メンデルの法則など中学生レベルの生物学から始まり、これまでに原因遺伝子が明らかになっている遺伝性疾患の具体的な症状まで、獣医師がわかりやすく説明していく。