前回の話のつづきです。 「なあ、付き合おうや」 メールのやり取りがはじまって、しばらくしてから。僕と彼女は一度、昼間に会ってデートした。確か、渋めに小倉城とか見に行った気がする。とりあえず場所は問題じゃなかった。会える、というその事実が何より大切だったんだと思う。まあそれにしても、城はないだろうよ、俺。 「肉さん、受験があるんでしょ?だったら、付き合えないよ。邪魔にはなりたくないもの」 撃沈した。なまじ、嫌いだとか言われていないぶん、生暖かく切なく心に沁みるフラれ方だった。僕は小倉城の周辺で討ち取られた武将を自分の感情にフィードバックしながら、無念、と呟き小倉の街を後にした。 そんなやり取りのあったその夜。僕は一人、部屋で悶々としながらもついに携帯を握り締める。 「すまん、やっぱり付き合ってくれ!」 諦めきれない!若者の心は叫ぶ。実際はこの100倍ほどの長さの文面だったけれども、要するに1