政府の税制調査会が6月21日に「個人所得課税改革の論点整理」を公表したことで、税制への関心が高まっているのではないかと思う。財政状況を考えれば、本気で取り組むなら(頼むから取り組んでくれ)どんなかたちにせよ大規模な見直しは免れまい。 本格的な税制の議論を始めるなら、ぜひ本気で検討してもらいたいものがある。これまで繰り返し出された議論だが、この機会にまた持ち出してみる。今度はまじめに考えてもらえないだろうか。 「負の所得税」を、だ。 「負の所得税」については、経済学に詳しくない人でも、ベストセラーになった「選択の自由」などに出ているから、知っている人はたくさんいると思う。提唱したのはいわずとしれたミルトン・フリードマンだ。ひとことでいえば、既存の公的扶助制度に代わるアイデアとして、所得がある水準以下の者に対しては、その水準を下回る差額の一定割合だけ負の課税、つまり給付を行う、というもの。既存