平成18年に、日本禁煙学会は、漫画およびテレビアニメ「NANA」の「目に余る喫煙描写を直ちに止めることを要請」した*1。読者が喫煙をはじめるきっかけになるという危惧はわかるが、それにしたって、日本禁煙学会の抗議はやり過ぎである。抗議文には、「ファッションの一つと誤解させる」「未成年者の喫煙が健康に及ぼす悪影響の深刻さをまったく認識していない描写」「多くのキャラクターが所かまわず喫煙している」とあるが、ファッションの一つとして健康への悪影響など認識せずに所かまわず喫煙するようなキャラクターを描くのは作家の自由であろう。日本禁煙学会としては、本気で喫煙描写を止めさせたかったわけではなく、喫煙の害について耳目を集める、あるいは喫煙表現を牽制することが目的だったのかもしれないが、それにしたってやり方が稚拙であった。 タバコは、表現の上で一種の記号として働く。現実社会において、ある集団に喫煙者が多い
東京都内にある拙宅の最寄のJRの駅に行ったら、駅員が「JR東日本は4月1日から、首都圏の駅を全面禁煙になりました」とマイクで喚いていた。五月蝿くて仕様が無いが、周知広報のつもりだろう。我輩は駅のホームでパイプ煙草を喫うことは殆ど無いので、全面禁煙になったところで実害はまったく無い。 しかし、気に食わないのがこの駅員の物の言い様だ。「たばこをお吸いの方にはご不便をお掛けしますが、ご理解とご協力を御願いします」と言う。見ると、駅構内に貼ったポスターにも同じことが書いてある。 最近、横着な連中に限って、勝手な御託を並べて「ご理解とご協力を御願いします」と執拗に強制するのが流行である。馬鹿の一つ覚えという俚諺があるが、横着の一つ覚えと変えた方が良い。理解する必要はさらさら無いし、まして協力など以ての外である。 我輩は、むらむらと怒りが込み上げて来たので、マイクを握っている駅員につかつかと歩み寄って
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