日本側が裁判を行うべき米兵犯罪のほとんどで日本側が裁判権を放棄している実態が、一九六〇年代の米軍当局の統計から明らかになりました。 国際問題研究者の新原昭治氏がこのほど、米国立公文書館で入手した米陸軍法務局作成の統計資料(一九六二年十二月一日―六三年十一月三十日、沖縄を除く在日米陸海空軍の合計)によると、次のような状況になっています。 ―日本の裁判に付されるべき犯罪三千四百三十三件のうち、日本側が裁判権を保持し手放さなかったのは三百五十件で、全体の10・2%。 ―米軍が日本に対し裁判権を譲るよう請求した事件(二千六百二十七件)のうち、日本から放棄を勝ち得たのは二千四百四十八件で、全体の93・2%。 新原氏は、「米国の同盟国でも、トルコでの裁判権放棄はゼロだったとされている。日本は他国と比べて裁判権放棄の比率がきわめて高い」と指摘しました。 解説 背景に密約の存在 新原氏は十七日の講演で、本