閑散とした敷地に、案内係の職員が手持ちぶさたの様子でたたずんでいた。6月半ば、自衛隊が設置する東京都千代田区の新型コロナワクチン大規模接種会場。かつては希望者が多かった金曜日だが、訪れる人はまばらだった。 「会場の中もひっそりしてましたね」。3回目接種を済ませた千葉県松戸市の20代の女性会社員は話した。国内でのワクチン接種率は1、2回目が80%を超える一方、3回目は60%超で早くも頭打ちの兆しが見えてきた。医療の逼迫(ひっぱく)が緩和されて接種の必要性を感じにくくなる中、副反応への懸念から接種を避ける人も少なくない。 接種の鈍化で目立ってきたのが、有効期限を過ぎたワクチンの廃棄だ。特に米モデルナ社製は副反応の強さが心配され、期限までに使い切れない自治体が各地で続出。品川区では約6万回分、大阪市では約8万5000回分、広島市では約7万回分が廃棄に回った。 「無駄が出ないよう工夫したが、3回目