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ブックマーク / honz.jp (30)

  • うつ病やアルツハイマー病もそれと関係しているのか 『脳のなかの天使と刺客──心の健康を支配する免疫細胞』 - HONZ

    それは脳のなかの「天使」でありながら、ときには「刺客」へと変貌するという。書の主人公は、非神経細胞のひとつである「ミクログリア」である。 つい最近まで、ミクログリアは脳のなかの端役にすぎないと考えられていた。脳内の情報伝達を担うニューロンや、そのつなぎ役を務めるシナプスといった綺羅星たちと比べると、それが果たす役割はごく些末なものだと考えられていたのである。ところが近年、そうした見方は大きく変わりつつある。ミクログリアは脳のなかできわめて重要な役割を果たすとともに、それが誤作動を起こすと、わたしたちの健康に甚大な被害が生じることがわかってきたのだ。後者の例を言えば、うつ病や不安障害、あるいはアルツハイマー病なども、ミクログリアの誤作動と関係しているという。 書は、ミクログリアが脚光を浴びるに至った経緯と現状を物語るものである。そしてそのストーリーは、ふたつの糸が撚り合わさった形で進行す

    うつ病やアルツハイマー病もそれと関係しているのか 『脳のなかの天使と刺客──心の健康を支配する免疫細胞』 - HONZ
    Imamu
    Imamu 2022/11/09
  • 『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ

    傷跡から血が滲み出ているような一冊だ。 読み終えた後もずっと「凄いものを読んだ」という余韻が消えない。早くも今年のベスト級の一冊に出会ってしまった。書は当事者ノンフィクションの傑作である。 著者は「修復的司法」の研究者である。修復的司法というのは、1970年代に欧米を中心に広まった紛争解決のアプローチで、従来の刑事司法では、国家が犯罪者を処罰することで問題を解決しようとするのに対し、修復的司法は、被害者と加害者の対話を中心に置き問題解決を目指す。 著者には性暴力の被害にあった過去がある。修復的司法の研究者を志したのも、自らの被害体験と深くつながっているからだった。そして、これがとても重要かつ繊細な機微をはらんだポイントなのだが、被害者だからこそ、加害者との対話に興味を持った。 だが当事者であることを著者はずっと明かせなかった。なぜならカミングアウトすれば「加害者との対話を望む被害者」と単

    『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く - HONZ
    Imamu
    Imamu 2022/02/20
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

    『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ
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    Imamu 2019/06/12
  • 『Bullshit Jobs: A Theory(洋書)』どうでもいい仕事を理論化する - HONZ

    経済学者のジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946年)は、 1930年に”Economic Possibilities for our Grandchildren(孫の世代の経済的可能性)”というエッセイの中で、イギリスやアメリカのような先進国では、テクノロジーの進化によって20世紀末までに週15時間労働が実現しているだろうと予言した。(”Essays in persuasion(ケインズ 説得論集)”) ケインズの指摘する通り、確かにテクノロジーは大いに進化したものの、結局、この予言は当たらなかった。ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)の社会人類学教授のデヴィッド・グレーバーは、その理由を、テクノロジーがむしろ無意味な仕事を作り出す方向に使われたからだと説明する。 グレーバーは、”We are the 99%(我々は99パーセントだ)”というスローガンで行われた、201

    『Bullshit Jobs: A Theory(洋書)』どうでもいい仕事を理論化する - HONZ
  • 『世界を変えた14の密約』 - HONZ

    「企業の密約が世界を変えた」と言えば、ありがちな陰謀説だと思われるかもしれない。しかし、書はそんな陰謀説を掲げてスキャンダルを暴露しようとするではない。むしろ、それとは正反対だ。このは、今わたしたちをとりまくこの世界が、偶然の産物ではなく、ある意図のもとになるべくして今の形になったことを、歴史的な事実と綿密な取材に基づいてひも解いていく。書を読めば、ばらばらに見えた点と点がつながり、今目の前にある世界が違う角度で見えてくる。 著者のジャックス・ペレッティは、名門ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業して調査報道の道に進み、ガーディアンやワイアードといった一流紙誌に予言的な記事を掲載してきた、今最も旬なジャーナリストのひとりである。ドキュメンタリー制作者としての実力も折り紙つきで、書をもとにしたドキュメンタリー番組もBBCで放送され、大きな反響を呼んでいる。 そんな旬の著者が

    『世界を変えた14の密約』 - HONZ
    Imamu
    Imamu 2018/06/01
    「ロボットより安い人間がロボットの仕事を奪い合う未来」「アメリカではガソリンスタンドから自動洗車機が消え、人間の労働力が機械に代わっている」
  • 『馬・車輪・言語』 ステップを駆けたライダーたちがこの世界にもたらしたもの - HONZ

    上下巻で、文だけで650ページを超える大著だ。その議論を詳細に紹介するというのは、字数の点でも能力の点でもわたしの限界を超えている。そこで以下では、その議論のごく大まかな流れを紹介することにしたい。 印欧祖語はいつ、どこで話されていたのか インド・ヨーロッパ語族はどうしていち早く広い地域に分布することになったのか。その謎に挑むにあたって、著者は問題を大きくふたつに分解する。すなわち、インド・ヨーロッパ祖語の原郷をめぐる問題(第I部)と、その語族の具体的な拡散過程に関する問題(第II部)だ。 インド・ヨーロッパ語族の諸言語は共通祖先を持っており、その共通祖先にあたる言語は「インド・ヨーロッパ祖語(印欧祖語、Proto-Indo-European)」と呼ばれる(図1参照)。では、印欧祖語はいつ、どこで、どんな人たちによって話されていたのか。これが第一の問題である。 その問題をめぐって展開され

    『馬・車輪・言語』 ステップを駆けたライダーたちがこの世界にもたらしたもの - HONZ
    Imamu
    Imamu 2018/05/30
    「本書の主題は、インド・ヨーロッパ語族の拡散」「インド・ヨーロッパ祖語(印欧祖語、Proto-Indo-European)」
  • 『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ

    去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。SNSを中心にびっくりするくらい拡散されていたのは気づいていたが、こうして実際に売れ行きが好調だと聞くと、レビュアーとしては嬉しいばかりだ。 それはともかく、初詣や恵方巻き、平安神宮の歴史が実は長くないという事実を含め、「日の伝統」と聞いて、なんとなくモヤモヤした思いや感情を持っている人がそれなりにいることも反響を見ながら感じていた。そんなわけで、柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚家・放送作家とマルチに活躍

    『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ
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    Imamu 2018/02/08
  • 『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ

    『世界からバナナがなくなるまえに 糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおして栽培されるからである。それゆえ、「キャベンディッシュバナナはすべて遺伝的に同一であり、スーパーで買うバナナのどれもが、隣に並ぶバナナのクローンなのである」。 だがよく知られているように、そうした遺伝的多様性の低い生物は、天敵などの影響をもろに受けやすい。実際、かつて人々が口にしていたバナナ(グロスミッチェル種)は、「

    『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ
    Imamu
    Imamu 2017/07/25
    「わたしたちの食生活がごく少数の作物に依存していること。しかも、それらの作物も壊滅的なダメージを受ける可能性が十分にあること――それこそが、本書で提起されている最大の問題」
  • 『バッド・フェミニスト』訳者あとがき - HONZ

    なにげなく眺める英語圏のエンタテインメント情報サイトやファッション雑誌の見出しに、「フェミニスト」の文字がよく目につくようになったのは、いつ頃だったろう。日と比較すれば昔からずっとそうだったとも言えるけれど、2010年代、特にここ数年は、若い世代の女性に向けたメディアで、それこそ「いけてる子は全員フェミニスト」ぐらいの勢いを感じる。 もちろんこれは日在住の、そうした話題に関心のある一個人の観測範囲での話だから、偏っているに決まっている。とはいえ、たとえばセールスや受賞歴など数字の上でも今日のポップ・ ミュージックの世界に君臨する「女王」ビヨンセは、2014年のMTVビデオ・ミュージック・ アワードのパフォーマンスで巨大な「フェミニスト」の文字を背に立ち、その後も女性を祝福する作品を発表し続けている。国連ウィメン(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)は、『ハリー・ポッ

    『バッド・フェミニスト』訳者あとがき - HONZ
    Imamu
    Imamu 2017/02/08
    ロクサーヌ・ゲイ『バッド・フェミニスト』2017
  • 『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ

    『ブルマーの謎』は、最近ではすっかり見ることもなくなった女子体操服の「ぴったりブルマー(密着型ブルマー)」をテーマにした一冊である。長年研究を続けた社会学者が手掛けており、ブルマー研究の決定版とも言える内容だ。しかしこの画期的な研究が始まったのも、ゼミ生たちとの苦し紛れのやり取りから生まれた「偶然の産物」であったという。当時、山ゼミに所属していた小松聰子さんに、ブルマー教授誕生までの秘話を寄稿いただいた。(HONZ編集部) 今、私の中では嫉妬の炎が燃えまくっている 。そう、我らがブルマー教授こと山先生がとうとうブルマーを出されたのだ。これが身悶えずにいられようか。 なぜ、私がこんなにもムズムズとしているのか、それを説明するためには15年以上も前に時計の針を戻さなくてはならない。私は書の著者、山雄二教授のゼミに所属する大学3回生であった。卒業グループ研究のテーマを決める打ち合わせの

    『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ
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    Imamu 2016/12/11
  • 『バイエルの謎 日本文化になった教則本』文庫解説 by 最相 葉月 - HONZ

    小学生の頃、同じマンションに住むピアノの先生の家に週に一回、通っていた。自分の家にピアノがないのに習うというのは、今考えるとかなり無謀な挑戦だった。練習に使用したのは、赤い表紙のバイエル教則。正直、つまらなかった。赤を終えると黄色になったが、依然としてつまらなかった。同じことの繰り返しで飽き飽きした。 少し楽しくなってきたのは、父親が電気オルガンを買ってくれてから。発表会に向けて課題曲も決まった。テオドール・エステン作の「人形の夢と目覚め」。静かでゆったりとしたメロディーで始まり、途中から軽やかなテンポに変わる。まさに眠りから覚めた人形が突然踊り出すような可愛らしい曲だった。 転居先の町でも引き続きピアノ教室に通った。だが、私のピアノはここで練習したチェルニー教則で終わる。シャープやフラットの数が増えてわけがわからなくなったためだ。いや、もっと決定的な理由がある。ラジオから流れてきたビ

    『バイエルの謎 日本文化になった教則本』文庫解説 by 最相 葉月 - HONZ
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    Imamu 2016/03/06
    「「『唱歌と十字架』~日本最初の文部省小学唱歌の多くが讃美歌の替え歌であったことを明らかに~『日韓唱歌の源流』~唱歌を通じて東アジア諸国で共通の歌謡文化圏が築かれたことを解明した」
  • ※閲覧注意 『図説“特殊性欲”大百科 “ビザール”の生態学』 - HONZ

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    Imamu 2015/11/13
  • 『極限高地』天空の街で、祈るように暮らす人々 - HONZ

    世界が猛スピードで画一化している昨今だが、多様性を保持する源泉は自然の中に残されていた。チベット、アンデス、エチオピア。標高2000m〜4000mに住む極限高地の人々には、現代社会が忘れてしまった何かがある。地理的、気象学的にも特異な自然環境ゆえの孤立した暮らしの中には、他の地域に見られない独自の文化が粛々と受け継がれているのだ。 書は、極限高地と呼ばれる特殊な地域に住む人々の営みを追いかけた写真集である。撮影は、ドキュメンタリー写真家の野町和嘉氏。30年にも渡って彼が何度も訪れた、3ヶ所の高地における異次元な風景。それらをさらに俯瞰で眺めると、暮らす人々の間に普遍性も見えてくる。 厳しい自然環境を生き抜いている人々は、地域によって平地では考えられないような生活を強いられている。その中で人々は慎ましく満ち足りた祈りの日々を、世代を越えて受け継いできた。歳月を経て醸成されてきた民族文化の光

    『極限高地』天空の街で、祈るように暮らす人々 - HONZ
    Imamu
    Imamu 2015/07/02
    「極限高地には、 他の土地から伝播してきた文化を、高地特有の感性でとらえ、普遍性を加え変容していくことによって独自の文化を維持してきた」
  • 『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ

    “耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれた武士たちの耳や鼻が何百と葬られたというのなら、さぞや怨念が染み付いているだろう、怨霊話もあるだろう。耳や鼻を削ぐという行為の意味もみえてくるだろう、と思いきや。 なぜかどこへいっても「耳の神様が耳の聞こえをよくしてくださるところ」という話ばかりだったのだという。 私は日中の耳塚・鼻塚を訪ねてまわり〜(中略)けっきょくのところ、どこの耳塚・鼻塚からも不気味な怨霊譚が聞かれることはなかった。それどころか〜(中略)土地の人から愛され、ご利

    『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ
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    Imamu 2015/06/24
  • 『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ

    『奴隷のしつけ方』と衝撃的なタイトルだ。著者はマルクス・シドニウス・ファルクスというようだ。古典なのだろうか。書を手に取り、パラパラとページをめくると違和感を覚える。マルクス・シドニウス・ファルクスとは何者なのか。記憶の糸を手繰る。しかし、思い出せない。書の帯には「何代にもわたって奴隷を使い続けてきたローマ貴族の家に生まれる。」とある。書店でスマートフォンを取りだし、検索してみる。ウィキペディアでも見つからない。謎は深まる。 答えを求めてページをめくる。翻訳者のあとがきを読んだとき、謎が解けた。 当の著者はジェリー・トナーという男だ。解説者として表紙に名前がある。ケンブリッジ大学の古典学研究者のようだ。そう、著者とされるマルクス・シドニウス・ファルクスとは架空の人物だ。書は古代ローマ帝国時代の奴隷という存在がどのようなものであったかを、架空の人物に語らせ、各章の末尾に物の著者トナ

    『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ
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    Imamu 2015/06/18
  • 『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ

    姓を手がかりに、歴史に埋もれたビッグデータを掘り起こした著者は、残酷な現実を突きつける。 基盤的な、または相対的な社会的流動性は、社会学者や経済学者が一般的に考えている水準よりはるかに低い。 つまり、従来考えられていたよりも、わたしたちの人生はその生まれによって決定されており、人の努力や意志で階級の階段を昇るのは従来考えられていたよりも困難だというのだ。時代・地域を問わない低い社会的流動性は、経済格差の大きなチリやペルーだけでなく、社会福祉の充実したスウェーデンなど北欧諸国でも変わることはなく、チャンスの国アメリカとて例外ではない。さらに驚くべきことに、この低い社会的流動性を向上させる政策などないという。北欧に見られる教育の無償化も、あらゆるものを破壊した第二次世界大戦も、人類史上最大規模で知識階級を虐殺した文化大革命でさえも、社会的流動性を向上させることはなかった。上流は上流のまま、下

    『格差の世界経済史』 姓で読み解く階級社会の不都合な真実 - HONZ
  • 『目の見えない人は世界をどう見ているのか』見えないことから見えるもの - HONZ

    ずばりタイトルの通り、書は視覚障害者が世界をどのように認識しているのかについて迫っていくだ。目が見えない人とその関係者数名に対して行ったインタビュー、ともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべりなどを通して、晴眼者である著者が彼らをとりまく「見えない世界」について考えていく。 盲人の生活について書かれたはこれまでにも色々出ている。パッと見それほど珍しいテーマには思えない。しかしまえがきを読むと、書が一風変わった切り口から書かれていることがわかる。 書は、広い意味での身体論を構想しています。ただし、これはあまり前例のない身体論かもしれません。一般に身体論では健常者の標準的な体を扱います。ところが書では、「見えない」という特殊な体について考えようとしているわけですから。 書はいわゆる福祉関係の問題ではなく、あくまで身体論を扱ったであるということだ。「障害者とは、健常者が

    『目の見えない人は世界をどう見ているのか』見えないことから見えるもの - HONZ
    Imamu
    Imamu 2015/04/30
  • 『天才を生んだ孤独な少年期』つながりの過剰は愚民社会の到来を招くか? - HONZ

    天才とは何たるかがよく分かる一冊。が、それゆえに自分が天才でないことにも気付いてしまうという残酷な一面を持つ。 書に登場するのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、トーマス・エジソン、夏目漱石、アルベルト・アインシュタイン、そしてスティーブ・ジョブズ。時代も分野も異なる、これらの天才たちには、ある共通点があった。 それは、いずれも孤独な少年期を送っていたということである。ダ・ヴィンチとニュートンは幼い頃に母から引き離され、夏目漱石とジョブズは養子に出された。また、エジソンとアインシュタインには、ADHDや自閉症を疑わせる認知の特性があった。 このように聞くと、「やはり神は平等だ。輝かしき栄光を手にした人物には、同時に試練も与えたのだ」と思われるかもしれない。だがそれは因果が違うのである。彼らにとっては孤独な少年期こそ、才能を発揮するための必要条件であったというのが、書の

    『天才を生んだ孤独な少年期』つながりの過剰は愚民社会の到来を招くか? - HONZ
  • 『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ

    テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させるためにピンカーは、人類の暴力の歴史を大量の統計データとともに振り返る。書が上下で1,300ページ超という並外れたボリュームで膨大な文献を引用しているのは、並外れた説の主張にはそれに見合った証拠を提出する必要があるからだ。しかし、ピンカーが「統計のない物語が盲目であるとするならば、物語のない統計は空疎である」と語るように、書はデータばかりが延々と続く退屈なものではない。持続的な暴力減少を示す圧倒的な事実の積み重ねとそのメカニズムに対す

    『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ
    Imamu
    Imamu 2015/02/12
    こちらでも触れられてたけどやはり面白そうだなhttp://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20150208/1423392499
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    シリアスとギャグのバランスが絶妙な『銀魂』面白さと入りやすさはど... 2018年09月27日 ギャグが好きな人、思いっきり笑いたい人は、シリアス長編エピソードの間に挟まれるギャグ編がオススメ。私は読者投票によるキャラクターランキングの結果発表後、ランキング結果を変えようとするキャラクター...

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