2010年6月2日のブックマーク (3件)

  • 海老原嗣生『課長になったらクビにはならない』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    海老原さんの日型雇用システムの利点(企業のインサイダーは一定年齢以上で、よほど能力を低評価されていないかぎりリストラされない、管理職は転職できない=企業内特殊熟練ゆえ)に注目した、私見では海老原さんの著作の最高傑作だと思います。 あいかわらず各種の統計データを駆使して、通念や政策の場で言われていることを冷静に論駁しています。例えばワーキングプア1022万人の中味が実は大半が「主婦」であること。最低賃金改正は経営基盤の弱い企業を直撃する、また「同一価値労働同一賃金」の空理空論ぶりも指摘しています。 もちろん書では日型雇用システムの長所をあえてクローズアップする戦略を採用していて、むしろ日型雇用システムの問題として指摘されてきた諸点は、その批判者たちの事実誤認による、という海老原さんの戦略はわかりやすいものです。僕も『日型サラリーマンは復活する』で同様の戦略を採用したからです。もちろ

    海老原嗣生『課長になったらクビにはならない』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 高橋洋一『日本の大問題が面白いほど解ける本』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    高橋さんから頂戴しました。ありがとうございます。これはとても素晴らしいですね。いまの日の経済問題をほぼすべて網羅しながらも、簡潔かつレベルを落とさずに説明しています。これを今日読んでいて、この種のを高橋さんがあと何冊か書いてしまうと、もうそれだけで経済問題関係は大概ほかのはいらないような気さえしてきます。それだけこのはいままでの高橋さんの著書の中でも難しい問題を名人級のレベルで解き明かしているのです。その手法のキーは、費用便益分析と、規範と実証の明瞭な分離、そして数字と法制度に明るいことです。さらにこれに各省庁や政治家たちの裏舞台を、やはり彼らの行動を費用便益分析(経済合理性)の観点から辛辣に記述していることにも特徴があります。 ともかくネタのオンパレードなので、いま書いたような総花的な表現が精一杯なのですが、いくつか興味を魅かれた点を列挙していきましょう。 1 八ッ場ダムを費用便

    高橋洋一『日本の大問題が面白いほど解ける本』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 「合理的期待学派」について

    様々な経済関係の論文・論説・書籍・公表データから感じたことを気軽にメモ風に纏めるブログ。リンク等は御自由に。 不均衡分析の荒野に足を踏み入れると、勢い「合理的期待」と「均衡概念」との関係が気になってくる。毎回寄り道で恐縮だが、今回は伊藤隆敏『不均衡の経済分析』(東洋経済)の補論(いわゆる「合理的期待学派」について)にヒントを得ながら整理してみる。 主に整理する点は、以下の点である。つまり、「合理的期待学派」の主要な結論(政策の無効性や不必要性)は、寧ろ「均衡」の仮定の必然的帰結であり、「合理的期待学派」という呼名はミスリードで、「均衡学派」もしくは「新しい古典派マクロ経済学派」と呼ぶべきであること、ということだ。あわせて均衡と不均衡の含意についても少しふれてみよう。 1.「合理的期待」について 古典的なサージェント=ウォレスの論文では、合理的期待と自然失業率仮説を組み合わせたモデルに基づい