ジャニーズ事務所を巡る性加害問題を取り上げたことで、にわかに注目を集めた国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会。ただ、調査の目的は、ジャニーズ問題だけではなかった。12日間の調査をまとめた訪日ミッション終了ステートメント(声明)を読むと、人権侵害の観点から、日本国内のさまざまな分野に重い課題を突きつけていた。
われわれが繰り返し聞かされてきた、南海トラフ地震の30年以内の発生確率が「70〜80%」という国の予測(80%予測)。それがどう計算されたのかはほとんど知られていない。その確率の根拠が江戸時代に港を管理していた役人の一族に伝わる古文書だと、知り私は驚いた。 南海トラフ地震 静岡県の駿河湾から九州沖の海底に延びる溝(トラフ)沿いで起きる巨大地震。過去1400年の歴史上、100〜200年間隔で大地震が起きている。政府の中央防災会議は2012年、最悪の場合、死者が約32万人に上ると想定。地震調査委員会は13年に南海トラフ全域でマグニチュード(M)8以上の巨大地震が30年以内に起きる確率は60〜70%と発表。18年には年数の経過により70〜80%と引き上げられた。
専門職の人の労働時間規制を外す高度プロフェッショナル制度が、導入を主導した安倍晋三元首相らの当時の説明と懸け離れた運用になっている。経験が浅く希望もしていない人が高プロを適用された疑念が直近の調査で浮上。当時も今も所管の厚生労働相を務める加藤勝信氏は、当初の説明通りになっていない実態を指摘されても正面から答えず、制度を見直さない姿勢を示した。(池尾伸一、写真も) 高度プロフェッショナル制度 証券トレーダー、コンサルタントなど5業種の年収1075万円以上の社員を対象に労働時間の上限規制を外す制度。安倍晋三政権が政治主導で立案、過労死遺族や労働組合は「過労死を増やす」と反対したが2019年4月に導入された。今年3月末時点で21社22職場で665人に適用。2カ所の職場で在社時間と社外の労働時間の合計が月間400時間以上に達し、「過労死ライン」(残業含む労働時間月約273時間)を大幅に上回
安倍晋三元首相の国葬に関し、国会の関与がないのはおかしいとの批判がやまない。岸田政権は国葬実施を内閣の一存で閣議決定したが、自民党内からも疑問の声が出ている。法律の専門家である衆院法制局と衆院憲法審査会事務局は、憲法の趣旨を踏まえ「国会関与が求められている」との見解を示した。国葬は27日に行われる。(坂田奈央、柚木まり)
安倍氏の国葬は9月27日に行われる。費用は明らかになっていないが、各国から首脳級の参列も予想され、多額を要するのは必至。政府が半額を負担した中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬(2020年)は、首相経験者の葬儀としては過去最高の約1億9000万円だった。 税金などの詳細な使い道は、国民の代表者で構成される国会の議決に基づいて決めなければならないというのが「財政民主主義」の原則だ。一方、政府が国葬の財源に充てる方向の予備費は、憲法87条が「予見し難い予算の不足に充てる」目的で、あらかじめ使途を定めず計上することを認める予算。内閣の判断で支出し、使った場合は国会の事後承諾を得る仕組みになっている。 ただ、制度の主眼は自然災害など急を要する事態に備えることだ。野党からは「災害対策などに予備費執行はあり得るが、国葬はわけが違う。国会が関与すべきだ」(立憲民主党の泉健太代表)などと疑問の声が上がる。
小宮 「性的な表現は場をわきまえて」と批判する人も、逆に「表現の自由を守れ」と擁護する人も、その表現が「エロ」かどうかの観点で議論しがちです。そうではなく、問題は「性差別的な表現」かどうか。その議論が深まらないことをもどかしく感じてきました。フェミニズムにおけるポルノ批判の要点は、わいせつかどうかではなく、その中で女性が差別的に扱われていることです。 ふくろ ステレオタイプな描き方は性差別的な表現に限らず、よくあること。たとえば昔のハリウッド映画に服装や習慣が奇妙な「トンデモ日本人」が登場するように、欧米人には気にならなくても、違和感を覚える表現があります。また日本のメディアでも、「オタク男性」をメガネで長髪、清潔感がないなど偏ったイメージで描きがち。女性を性的に強調する描写も同じで、抑圧や偏見の対象になる当事者が違和感を覚えて声を上げている状況です。ただ、当事者じゃなくても共感してくれる
松野博一官房長官は6日の記者会見で、在日米軍施設での米軍関係者の新型コロナウイルス感染者数について、厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)では69人と初めて公表した。横田基地(東京都福生市など)では65人、嘉手納(かでな)基地(沖縄県嘉手納町など)では101人いることも日本政府として新たに明らかにした。基地内での感染拡大が各地で起こり、周辺地域への広がりが懸念される状況は深刻化している。(山口哲人) 公表したのは、米側から報告があった5日時点の感染者数。既に公表している施設では、岩国基地(山口県岩国市)で434人(前日比192人増)、キャンプ・ハンセン(沖縄県金武(きん)町など)で282人(同23人増)に上った。 松野氏は会見で、山口、沖縄両県にまん延防止等重点措置の適用が検討されていることを念頭に「在日米軍施設が所在する周辺自治体で感染が急増していることは認識しており、状況を懸念している」と
会員制交流サイト(SNS)で知り合った男性から精子提供を受け、子を出産した東京都内の30代の女性が、男性が国籍や学歴を偽ったことで精神的苦痛を受けたとして、約3億3000万円の損害賠償を求め27日、東京地裁に提訴した。SNSなどで個人間の精子取引が広がる中、代理人弁護士によると、実際のトラブルを巡る訴訟は全国初とみられる。
衆院選で敗れた立憲民主党の枝野幸男代表が、辞任表明した。枝野体制で要職を務める静岡6区の渡辺周さん(59)も、自民党の勝俣孝明さん(45)に屈した。比例復活で議席を守ったが、初めて小選挙区での敗北。衆院議員や沼津市長を務めた父の代から続く「渡辺王国」が崩された。自民や野党系市議は「立民の政策や野党連携への不信感だけではない。候補者がどれだけ地元を重視し『どぶ板』ができたかの差だ」と口をそろえる。(渡辺陽太郎) 二〇一二年の初対決で約一万二千票あった二人の差は一七年、六百三十一票にまで縮まった。比例復活が続いた勝俣さんは今回、約四千四百票差で悲願の小選挙区勝利を果たした。自民が強い伊豆半島では一市を除き全勝。大票田の沼津市と清水町、長泉町では敗れたが、一市二町の票差は前回から約千票縮めた。
今回の衆院選で、立憲民主党を中心とする5野党が候補者を一本化した213小選挙区のうち、1万票差以内で敗れた選挙区は31に上った。うち1000票差以内で敗れた選挙区も4つあった。接戦を勝ち抜ける共闘に向け、敗因分析が課題となる。 立民は公示前の110議席を96議席に減らした。一本化した小選挙区で、野党候補が勝利したのは59にとどまった。仮に1万票差以内の「接戦区」を全て勝ち抜いていれば、一本化した小選挙区の4割を超える90議席を獲得できたことになり、公示前議席からの上積みも狙えた。 枝野幸男代表は1日、記者団に「僅差まで迫った選挙区が多かったが、競り勝てなかった」と、接戦区での弱さが議席減の一因との見方を示した。福山哲郎幹事長も「紙一重でひっくり返る可能性もあった」と悔しさをにじませた。
岸田文雄首相は8日、森友学園に関する財務省の公文書改ざんを強いられて自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さんとの面会や再調査について「現在は民事訴訟のプロセスの中にある。裁判所の訴訟指揮の下、丁寧に対応するように財務省に指示を出した」と述べ、慎重な姿勢を示した。官邸で記者団に答えた。
自民党総裁選に立候補表明している岸田文雄前政調会長は13日、日本外国特派員協会で記者会見し、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した人事について「撤回は考えません」と述べた。 東京新聞の望月衣塑子記者が菅首相の6人の任命拒否について「学術会議側は学術会議法や憲法23条の学問の自由を侵害する行為だと強く批判しており、しっかり理由が説明できないなら、任命拒否を撤回すべきだと求めている」とし、岸田氏が首相に就任した際に「撤回を考えるかどうか」と尋ねた。 これに対し岸田氏は撤回の考えを否定した上で、「人事の理由説明は難しいものの、やはりこうした問題についてのさまざまな指摘には、しっかり考えを述べなければならないとは思う」とも説明。「今後学術会議のありようについては議論が進んでおり、今回の件も踏まえ、学術会議のありようについての議論は進めていくべきだと思う」と語った。
神奈川県内選出の菅義偉首相が自民党総裁選に不出馬を表明した3日、新型コロナウイルスの影響で苦境が続く地元の飲食店経営者や有権者らから「辞めるしかなかった」などと厳しい声が聞こえた。 飲食店が立ち並ぶ横浜市中区の野毛地区。野毛飲食業協同組合の田井昌伸理事長(65)は「辞めるしかなかった」と突き放す。酒類の提供停止要請を受け、経営するとんかつ店「パリ一」を五月から休業中。「店の準備には時間がかかるのに、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言は直前に延長されるばかり。実情を考えているのか」と憤る。 焼き鳥店「華蔵(かぐら)」店主の蔵並淳さん(38)は「変化はうれしい」。テークアウトやランチ営業を始めるなど試行錯誤するが、客足は戻らない。「政治のせいだけではないと思うが結果として街は停滞している。好転を期待したい」と話した。 東京五輪の野球、ソフトボール競技が実施された横浜スタジアムがある同区の横浜公
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