お菊虫に関しては、暁鐘成《あかつきかねなる》『雲錦随筆《うんきんずいひつ》』(文久二[一八六二]年刊)巻一に図入りで書かれています。 国書データベース ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 【原文】 〇播州巡覧圖會《ばんしうじゆんらんづゑ》ニ云《い》わく、皿屋敷の世話《せわ》ハ、児女子《じぢよし》の口にのミ殘りて、書き傳へたる物無し。 適《たま/\》播州志《ばんしうし》の類《るい》に聞ゝ書き等《など》有れども、芝居の下手趣向《へたしゆかう》に似て、必ず偽作《ぎさく》とハ見えたり。 寛政七年卯年《くハんせいしちねんうどし》、お菊虫と言ひて持て囃《はや》せり。 世俗《せぞく》にお菊の年忌毎《ねんきごと》に出づると言へり。 是《これ》、妄談《もうだん》の甚《はなハ》だしき也。 漢名《かんみやう》を蛹《よう》と言ひて、毛虫等の蝶《てふ》に成らんとす前に、先《ま》づ斯《か》くの形に變ハれり。