第一段「名付けとは」 「名付けとは、物事の創造や生成であり、物事の認識である。」というのが結論である。 常識で考えれば、名付けるとは、既に存在する物事に名前を付け、他の物事と識別することである。物事は名付ける前から個別に存在しており、名付けることで新たに創造されるとは考えない。 筆者の考えでは、「連続体としてある世界に切れ目を入れ対象を区切り、相互に分離することを通じて事物を生成させ、それぞれの名前を組織化することによって事象を了解する」ことである。したがって「世界はいわば名前を網目組織として現れる」ことになる。人間が事物を名付けることによって、「『世界』は、人間にとっての世界」になり、「『生きられる』空間が創造された」ことになる。それが人間の「世界に対する関与の在り方」である。 もともと世界は連続した一塊のものであって、名付けることによって切れ目を入れ、連続体から分離する、その行為を創造