「責任感がないのか」 ユーザー企業に転職してシステム担当として初めてかかわったプロジェクトで感じたのは、上辺だけのやり取りでユーザーもベンダーも責任を果たそうとしない奇妙なほど滑稽な現場の姿だった。 私は、IT業界の多重下請け構造の末端での生活に限界を感じて転職し、下請けSE・プログラマーからユーザー企業のシステム担当になった(参照:『「この電話は使われていません」、親身になってくれた友人がIT業界の闇に消えた話』)。28歳の時だった。 転職が決まった際、心に浮かんだことは、たった一つ。 どんづまりから抜け出せた…。ただそれだけだった。 解放感はものすごいものがあった。 転職先の業種はサービス業だったので、私でも、SE・プログラマーではない仕事ができるかもしれない。期待に胸を膨らませた。 自分が新しい会社で、携わる仕事のイメージは「サービスマン」だ。きちんとネクタイを締めてお客様をもてなす